勢いのあるソニーとフジフィルムが魅力的なAPS-Cカメラを発売
フルサイズ熱の中で秀逸なAPS-Cカメラが発売された
一眼レフに注力してきたカメラ業界の2巨頭・キヤノンとニコンも昨年後半、フルサイズ分野に参入し、いま、ミラーレスカメラといえば、フルサイズが話題沸騰中だ。
しかし、フルサイズミラーレスはボディーもレンズも高くて重い。メインカメラにコンパクトでセンサーサイズも小さくないAPS-Cカメラをメインカメラに購入するアマチュアカメラマンは少なくない。
また、プロやハイアマも普段カバンに忍ばせるカメラといえば、フルサイズではなく、APS-C以下のコンパクトなカメラだろう。私なんかはフルサイズよりもAPS以下のカメラの方がショット数が多いくらいだ。
そんなフルサイズ熱を切り裂くように、ソニーとフジフィルムが今年前半、魅力的なAPS-Cカメラを発表した。
おそらく、ASP-Cの中でもひときわ小型軽量なカメラを探している人の中には、どちらにしようか迷っている人も少なくないと思う。
双方を徹底比較して、私がどちらを選んだのか、レポートしたい。
X-T30とα6400をスペックで比較した
まずは、双方のスペックを参考に比較表を作成してみた。
X-T30 | α6400 | |
発売日 | 2019年3月 | 2019年2月 |
有効画素数 | 約2610万画素 | 約2420万画素 |
大きさ | (幅)118.4mm (高さ)82.8mm (奥行き)46.8mm |
(幅)120.0m (高さ)66.9mm (奥行き)59.7mm |
重さ(バッテリー、カード含む) | 約383g | 約403g |
イメージセンサー | APS-C (X-Trans CMOS 4) | APS-C (CMOS「Exmor」) |
画像処理エンジン | X-Processor 4 | BIONZ X®(ビオンズ エックス) |
AF測距点(位相差) | 425点 | 425点 |
顔検出 | ◯ | ◯ |
瞳検出 | ◯ | ◯ |
ISO感度 | 160~12800 (拡張:80~51200) |
100~32000 (拡張:100~102400) |
手振れ補正 | なし(レンズで手ぶれ補正) | なし(レンズで手ぶれ補正) |
連写 | 8コマ/秒(メカシャッター) 30コマ/秒(電子シャッター) |
最高約11コマ/秒 |
Log撮影 | 可能 | 可能 |
動画 | 4K/30P | 4K/30P |
4K最大撮影時間 | 30p /10分 | 30分制限なし |
EVF | 0.39型 236万ドット | 0.39型 236万ドット |
ネットワーク | Wi-Fi、Bluetooth | Wi-Fi、Bluetooth、NFC |
液晶モニター(93万ドット) | 2軸チルド可動式 | 180度チルト可動式 |
その他の特徴 | フィルムシミュレーションにETERNA | リアルタイムトラッキング |
実勢価格(本体) | 約105,000円 | 約10,500円 |
静止画のX-T30と動画のα6400という住み分け
比較表を見ると、サイズ的にはフジフィルムのX-T30がやや軽量だ。さらに、上位機種X-T3の機能・性能をほぼ盛り込んだというだけあって、有効画素数もα6400を上回っている。
ただ、画素数が多ければ、高画質な写真が撮影できるかといえば、それはカメラの特性次第だ。私は画素数至上主義には立たない。ただ、頻繁にトリミングする人は画素数が多い方が画質の劣化は少ない。
さらに、X-T30には上位機種のX-H1やX-T3でしか使えなかったフィルムシミュレーション「エテルナ」も盛り込んだ。「エテルナ」は彩度や輝度を落として、まるで映画のような映像を作り出してくれる。
フィルムメーカーの伝統を持つフジのカメラは「ガラグレが必要ない」「jpeg撮って出しでも十分」と言われるほどフィルムシミュレーションが秀逸だ。下手なカラグレは不要だ。
小さな巨人と言われるX-T30に対して、ソニーのα6400は世界最速0,02秒のオートフォーカス(AF)を打ち出してきた。
X-T30も十分高速AFだが、α6400はなんといっても世界最速だという。AFでは世界をリードするソニーが言うのだから、嘘ではないだろう。
AFの速さだけではない。高精度・高追従のリアルタイム瞳AFや、被写体を高精度で追従し続けるリアルタイムトラッキングが搭載された。
これは動画撮影の時には、物凄い威力を発揮する。
とくに、リアルタイムトラッキングは、追従する人物を設定すれば、たとえ、一時的に誰かの陰になっても、再び見えた時には、ピタリと合焦してくれる。運動会などで我が子の姿をピンボケさせないで追従してくれるわけである。
私がFUJIFILMのX-T30を選んだ理由
α6400に感じた機能・性能の出し惜しみ
ソニーのα6400は動画を生業とするYouTuberや映像作家には一定の人気があるようだ。
フルサイズのα9に負けないようなAF性能と、これも極めて重要なことだが、液晶モニターが180度チルドするため、自撮りが楽にできるからだ。
しかし、大きなものが欠落している。それはボディ内手ブレ補正だ。
もちろん、手ぶれ補正が搭載されたレンズを使用すれば、船酔いするような映像を幾分防げるが、ボディ内手ブレ補正にはかなわない。
なぜ、α6400に手ブレ補正を搭載しなかったのか?
決して、現段階で技術的に無理だったということではないだろう。なぜなら、現に、α6500にはボディ内手ぶれ補正が搭載されている。
とすれば、発売が近いとも思われるα6500の後継機と差別化を図るためではないかと感じる。
つまり、α6500の後継機に手ぶれ補正を搭載し、6400のすべて、あるいはそれ以上の機能・性能を盛り込む戦略ではないかと推測している。
その意味では、α6400には機能・性能の出し惜しみを感じてしまうのだ。
X-T30は現時点で最善を尽くした感がある
フジのX-T30も本体に手ぶれ補正はないが、X-T30にも手ぶれ補正は搭載されていない。
現在、フジのカメラで手ぶれ補正があるのはフラッグシップのX-H1だけだ。しかし、X-H1はイメージセンサーと画像処理エンジンはX-T30に抜かれ、陳腐化してしまった。
そもそも、私はX-T30に完璧なる動画機能を期待してはいない。私が考えているのは、他に何も動画機を持っていない時に、X-T30の動画撮影を代用できればいいという程度だ。
むしろ、私が期待するのは、正確かつ高速なAFと多彩なフィルムシミュレーションだ。つまり、静止画の撮影能力だ。
昨年、フジノンレンズ「XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR」に「テレコンバーター XF1.4X TC WR」をつけて、X-20で長女の大学ラクロスリーグ戦を撮影したが、一枚も失敗はなかった。
小さなカメラでも、その実力に驚いたものだ。その後継機X-T30は、いまフジの持つ最新鋭の機能・性能を盛り込まれたわけだから、悪かろうはずがない。
X-T30はフジフィルムが現在可能なだけの機能・性能を盛り込んだ印象がある。
というわけで、私はX-T30を購入した。
FUJIFILMのX-T30 | SONYのα6400 | ||
マップカメラ | カメラのキタムラ | マップカメラ | カメラのキタムラ |
今後のカメラ購入ロードマップは?
ただ、最後に、私の今後の購入ロードマップを付け加えておきたい。
それは次に購入するとすれば、念頭にあるカメラは次のような機種である。
- ライカQ2
- ソニーα6700(α6500の後継機)
- フジフィルムX100V(X100Fの後継機)
- フジフィルムX-H2(X-H1の後継機)
どの順番に購入するかはわからないが、いま、私が魅力的に感じているカメラは上記の4機種である。
なお、私は現在、ライカQもソニーα6500も、フジのX-H1やX100Fも所有していない。次の機種が出るまで物欲を抑えている。
ただ、ライカQ2はいずれ手に入れたいと思っている。
みなさんは、どんなカメラを狙っていますか?
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