フィルム時代の銘玉「Ai AF NIKKOR 180mm F2.8 ED」は小型軽量で優れた描写力だった!Web写真展「変貌する渋谷」

Nikon SP F3 D60 D850
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大口径望遠レンズ「Ai AF NIKKOR 180mm F2.8 ED」はスナップに使えるサイズ感

ニッコールの銘玉「180mm f2.8」の系譜

東京五輪は連日、日本勢のメダルラッシュが続いている。

過去、金メダルの最多獲得数は2004年アテネ大会と1964年東京大会の16個だったが、今日現在、日本勢は17個と過去最多を更新した。

一方で、東京はコロナ禍が拡大し、1日の新規感染者数がとうとう3000人を超えた。複雑な思いで東京五輪を観戦している人も多いと思うが、選手に罪はない。開催された以上、悔いの残らないように全力を出し切ってほしい。

コロナ禍で積極的に撮影に出かけにくい日が続いているので、最近はもっぱら東京五輪をテレビ観戦している。しかし、悪い癖で、ついつい会場のカメラやレンズに目がいってしまう。

カメラ市場でニコンの苦戦が伝えられているが、さすがにオリンピックともなると、D5やD6と思われるニコン機もよく見かける。ただ、時代の変化を感じるのはソニー機も決して少なくないことだ。GMレンズで撮影しているカメラマンも想像以上に多かった。

というわけで、今回はニコンの望遠レンズがテーマだ。

私はスナップ撮影が中心なので望遠レンズはさほど所有していない。長女の大学選手権撮影用に購入したソニーの100-400mmGMや富士フイルムが今年1月に発売した70-300mm(APS-C用)などだが、いずれもズームレンズばかりだ。

そこで、今回、単焦点の望遠レンズも撮影に使いたいがために選んだのが、ニコンが1987年に発売した「Ai AF Nikkor 180mm F2.8 IF-ED New」だった。

ニッコール千夜一夜物語によると、「180mm f2.8」は昭和45(1970)年の札幌冬季プレ五輪で報道向けに限定発売された「NIKKOR Auto 180mm F2.8」が源流だという。

その後、1977年にAi方式とED(特殊低分散)ガラスを採用した「Ai Nikkor ED 180mm F2.8S」が誕生し、AFモデルに変遷した。(ニッコール千夜一夜物語・第10話「特殊低分散(ED)ガラスを採用した望遠レンズ」

  • 1981年(昭和56年)〜 Ai Nikkor ED 180mm F2.8S
  • 1987年(昭和62年)〜 Ai AF Nikkor 180mm F2.8 IF-ED New(私が購入したモデル)
  • 1994年(平成6年)〜 Ai AF Nikkor 180mm F2.8D IF-ED

私が購入したのは1987年に発売された「New」と呼ばれるモデルで、その軽量コンパクトに驚いた。しかし、私が感じたのはそれだけではなかった。

大口径望遠レンズが760g!スナップに持ち出せるサイズ感

「Ai AF Nikkor 180mm F2.8 IF-ED」を手にして、まず最初に感じたのは、次の3点だった。

  1. 大口径にしては小型軽量な望遠単焦点(760g)
  2. 鏡筒は高級感があり、レンズフードは収納式なので携帯性に優れている
  3. 中古で2万円台の圧倒的安さ

このほか、Dタイプレンズに共通している利点だが、絞り環があるため、デジタルカメラでもニコンF3など昭和のフィルムカメラでも幅広く使用できる。

このレンズのコンパクトさは、D850に装着した写真を見てもお分かりいただけると思う。

ちなみに「180mmf2.8」の比較は次の通り。

Ai AF NIKKOR 180mm F2.8 IF-ED New Ai Nikkor ED 180mm F2.8S
発売日 1987年 1981年
フォーカス AF/MF MF
レンズ構成 6群8枚 5群5枚
絞り羽根 9枚 9枚
最短撮影距離 1.5m 1.8m
フィルター径 72mm 72mm
サイズ(最大径×長さ) 78.5×144 mm 78.5×130 mm
重さ 760g 800g
価格(中古相場) 3万円〜 1〜2万円台

上記比較表をみると、MFレンズからAFレンズに更新された際、一層軽量化されていることがわかる。

中古相場だが、最近まで現行モデルだったDタイプは探せば4〜5万円から手に入る。ただ、程度の良いものは7万円以上も散見される。

一方、私が購入した「New」と呼ばれる、ひと世代古いモデルは、ほぼ同スペックながら2万円台から購入できる。ただ、発売後30年以上経過したモデルなので、レンズコンディションなど個体差に注意が必要だ。

そうしたことを考慮すると、やや高価だが、Dタイプを選んだ方が無難かもしれない。

さて、私が手に入れた「Ai AF Nikkor 180mm F2.8 IF-ED」は、フィルムカメラ真っ盛りの時代のAFレンズゆえに、次の2点を確認したかった。

ひとつはデジタルカメラで撮影した際の描写力。もう1点はAFの速度と精度である。

というわけで、このレンズを高画素モデルD850に取り付けて撮影に出かけた。

有効4500万画素のD850はレンズを選ぶと言われる。果たしてフィルム時代に誕生した「Ai AF Nikkor 180mm F2.8 IF-ED」はD850の高画素に耐えうるのだろうか?

ニコンD850と「Ai AF Nikkor 180mm F2.8 IF-ED」の相性は?

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Web写真展「D850と昭和レンズが捉えた”変貌する渋谷”」

今回の撮影地は私が学生時代によく散歩した街・渋谷である。

以前、PENTAX K-1 MarkⅡで渋谷を撮影したが、その時は代官山方面から再開発で誕生した渋谷ストリームまでの道のりだった。

フルサイズ PENTAX K-1 MarkⅡは撮影が楽しいカメラだった!程よい良い3640万画素に手振れ補正効果で描写力も抜群(渋谷スナップ作例あり)
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今回は、反対側、現在も再開発中の桜丘口地区から渋谷ストリームまで歩きながらスナップした。まずは、まだ昔の街並みが残る桜ヶ丘からスタートした。

渋谷駅に近づくと、工事中の広大な土地が出現した。渋谷の再開発は、2012年の渋谷ヒカリエ、2018年に渋谷ストリーム、そして現在はこの渋谷駅桜丘口の工事が進行していた。渋谷駅南西部に広がる約2.6haの敷地を一体的に整備する計画だ。

渋谷の顔といえば、スクランブル交差点が有名だが、この工事現場の脇には車道の上に浮かぶ広大な歩道橋が整備されていた。近い将来、渋谷駅周辺は車道と歩道が分離された街に様変わりするのかとイメージさせる景観となっていた。

歩道橋?から見える景色は、いつもの渋谷であった。

渋谷ストリームに向かった。渋谷ストリームは2018年9月開業で比較的新しい商業ビルだ。オフィスフロアはGoogleの日本法人が一括して借り上げている。

昭和の気配が漂う線路下をくぐって、まもなく渋谷ストリームに到着した。

渋谷ストリーム周辺は、アートのようなオブジェが配置され、緑も意識された街づくりとなっている。

いったん、明治通りに出たが、地上32階建ての渋谷ストリームが眼前を覆った。

しかし、渋谷ストリームから視線を横に移すと、周辺にはなんとなく懐かしい情景も残っていた。

撮影者:Nikon D850 + Ai AF NIKKOR 180mm F2.8 ED

撮影補助:さきょう

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撮影を終えて

今回撮影に使用した「Ai AF NIKKOR 180mm F2.8 ED」は、いまから35年ほど前に誕生したAFレンズである。

昭和のフィルム時代のレンズは有効4500万画素のD850に決して負けていなかった。役不足どころか、むしろ素晴らしい描写力だった。

古いレンズは周辺の解像感や減光が云々と指摘されるが、写真を見て、どう感じただろうか?

このレンズと現代レンズで撮影した写真を並べられて、即座に見分けられる人はどれだけいるだろうかとも思った。

f2.8の大口径180mmはいまでも十分活用できる単焦点レンズである。これが2万5000円なのだから、とてもコストパフォーマンスが良いと思っている。

もうひとつ、私は当初、AFの速度と精度を懸念していた。今回の撮影はすべてAFで撮影したが、ピンボケも皆無、まったく問題なかった。

このAFの速さと正確さはD850のボディ性能が寄与しているためか、とも思い、1998年に発売されたフィルムカメラF100でも試してみた、やはりAFは速い。爆速とはいえないまでも、瞬間を切り取るスナップ撮影には必要十分な性能だった。

1959年(昭和34年)、Nikon Fが発売されて以来、60年以上続いたFマウントレンズは安値で放置状態の個体がゴロゴロしている。

ニコンZシリーズの発売以来、Fマウントを売却し、マウント替えした人も多いだろう。それだけにFマウントレンズがより一層、投げ売り状態である。

私も将来、Zマウントに移行するかもしれない。しかし、その前に学ぶべきことがFマウントにはたくさん詰まっているような気がした。

 

今回の撮影に使用した機材

 

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