復刻ノクチ「Noctilux-M 50mm F1.2 ASPH.」はライカ沼脱出レンズ!(カメラ雑談&作例あり)

スナップ
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趣味カメラは決して「最新=最善」とはいえない

名カメラマン不要の超ハイスペック競争時代に突入

2021年夏、東京のコロナ新規感染者数は1日あたり5000人を突破した。しかも、猛暑と大雨を繰り返し、とても気楽に街スナップに出かける気分になれない日が続いている。このため、気乗りしない撮影は休んで、最近はゆっくり本業の執筆に専念している。

ただ、当ブログには更新を楽しみに訪問してるカメラ・写真ファンも少なくない。本当に感謝に堪えない。それゆえ、今回は最近のカメラ事情をめぐる雑談と今年購入した最も高価なレンズ「Noctilux-M 50mm F1.2 ASPH.」について語りたいと思う。

東京五輪でトライアル使用され、そのフォルムとともに注目されたカメラがある。ニコンが開発中のフラッグシップZ9である。どうやら2ヶ月後には発表されるらしいが、噂のスペックを見ると、可能な機能・性能をすべて盛り込んだモンスター機となりそうだ。

たとえば、スポーツなど激しい動きもの撮影には珍しい4500万の高画素。600万画素に画素数を落とせば、秒間120コマが可能。AFは人や動物認識にとどまらず、自動車認識もできる。-7EVの低照度、つまり暗闇でもピントが来る。シャッター音も最近のミラーレス機特有の静音や無音だけでなく、一眼レフD6のようなマシンガン音も選択できる。

ミラーレス機の可能性を最大限に引き出し、ミラーレス特有の不満点も埋めている。まさに夢のフラッグシップで、価格は70万円超とも予想されている。

おそらくキヤノンも今後、フラッグシップの開発で機能・性能をZ9に寄せてくるだろうし、まさにカメラマンは構図だけ考えて、あとは黙ってシャッターを切っていれば、商品が完成する時代がすぐそこまでやってきている。

すでに、ソニーはその境地を目指したフラッグシップα1やα9系を発売しているが、以前、当ブログで私が指摘したプロカメラマン不要のカメラに向けて着々と開発競争が進んでいる。

歩留まりを高めたいカメラマンや報道機関向け業務用カメラとしては当然の成り行きかもしれない。しかし、趣味カメラとして楽しいカメラなのかといえば、未知数である。

というのも、私はフルサイズのメインはソニーα7RⅢやα7Ⅲ、α7Cで簡単によく写る優等生だが、散歩に持ち出すとなると、他の不便なカメラを手にしてしまう。私にとって機能・性能と撮影の面白さは決して同じ座標軸ではないのである。

先日、久しぶりにiPhone 11 Proでスナップしたが、何をとってもガチピンだし、色乗りは素晴らしいし、携帯性は敵なしだ。iPhone 11 Proは文句のつけようのないカメラなのだが、撮影自体は決して面白いとはいえない。シャッター感覚がこれほどカメラの魅力を左右するものなのかと改めて実感する。

私のTwitterのフォロワーさんには、古いフィルムカメラやデジタル一眼レフを愛用している人も多い。いわゆる型落ちや低スペックのカメラである。しかし、その古風な写りや不便さを楽しんでいる。おそらく、私と同じ感覚の方々だと思うが、趣味カメラは決して「最新=最善」ではないと感じている。

ところで、現在も新機種において不便さを貫いているカメラメーカーといえば、ライカだろう。とくにM型ライカはマニュアルフォーカスのみで、AFが速い遅いといったスペック競争とは完全に距離を置いている。

ライカだからといって、特別な描写をするわけでもない。私の個人的な感覚ではソニーα7系に似たような描写である。それでいてカメラボディは100万円前後。酔狂としか言いようがないメーカーなのだが、私のような酔狂なファンも少なくない。

ただ、そのライカもどんどん新たなカメラやレンズを発表している。いちいち付き合っていたら身が持たない。お金はもっと別なことにも使いたい。

というわけで、この春、「これで最後にしよう」と購入したのが「Noctilux-M 50mm F1.2 ASPH.」、いわゆる復刻ノクチだった。

狂った金銭感覚!「オリジナルは500万円超。復刻ノクチは90万円台で買える」

ライカにはアポズミや貴婦人、8枚玉といった人気のMFレンズが数多く存在するが、その中でもお金があってもなかなか美品・良品に出会えない幻のレンズがある。

それが、1966年に発売された「初代Noctilux 50mmf1.2」。1966年から1975年まで生産されたのはわずか1757本にとどまる。このレンズは手磨きによる非球面だったため、量産化が困難だった。

その希少さから、中古にもかかわらず、相場は300万円を超えていたが、最近では500万円台という個体も登場した。

この初代ノクチは絞り開放時は絵画的かつ個性的な描写で、絞ればクリアな描写に一変する。それゆえライカ自身も「屈指の銘レンズ」と呼んでいる。

ライカのビジネスセンスはなかなか抜け目ない。

中古相場300万円超まで高騰し、なかなか手に入らない初代ノクチについて、その復刻版を発売したのである。

価格は100万円を切る90万円台。中古価格を知るマニアは「安い」と錯覚するのである。かくいう私もその一人。新品だから鏡胴の傷やレンズのクモリ・カビを警戒する必要もなく、安心?して買えた。

ノクチルックスといえば、新品価格140万円台で、もっと明るいF0.95の現行レンズがある。しかし、私は復刻ノクチに魅力を感じた。

なぜか?

まずは、次の比較表をご覧いただきたい。

Noctilux-M 50mm F1.2 ASPH.NOCTILUX-M 50mm F0.95 ASPH.
レンズ構成4群6枚5群8枚
最短撮影距離1m1m
フィルター径49mm60mm
サイズ(最大径x長さ)61×52 mm73×75.1 mm
重さ470g700g
新品価格(マップカメラ)94万0500円143万1650円
中古相場95万円台

上記比較表から3つの違いがわかる。

まずは復刻は重量が230g軽い。新品価格は50万円ほど安い。現行ノクチは中古相場が復刻ノクチに寄っている。

ただ、復刻ノクチは生産数が少ないのか、現在、在庫のある量販店は見当たらず、その多くは「お取り寄せ」となっている。

価格はともかく、最も重視したのはサイズと重さである。

復刻ノクチの470gは重くはなく、使い勝手が優れていると感じた。700gもの重さだと持ち出すのが億劫になり、防湿庫のオブジェ化してしまうと思ったのである。

というわけで、復刻ノクチの作例を紹介したい。

復刻ノクチ「Noctilux-M 50mm F1.2 ASPH.」は街を優しく描写した

復刻ノクチ「Noctilux-M 50mm F1.2 ASPH.」が表現する代官山

復刻ノクチこと「Noctilux-M 50mm F1.2 ASPH.」は普段、シンプルなM10-Pに装着している。今回の東京・代官山の撮影も、そのシステムを採用した。

撮影者:Leica M10-P + Noctilux-M 50mm F1.2 ASPH.

撮影補助:さきょう

撮影を終えて

今回の撮影で最も感じたこと。それは、加齢による視力低下で、M10-Pとのシステムは光学ファインダー(OVF)ゆえに暗くなるにつれてピン合わせが厳しいということだった。

あと何年、M10-Pとノクチとともに撮影できるだろうかと心の中で呟きながら、1枚1枚、味わうようにシャッターを切った。同時に、まだ視力が間に合ううちに、もっとM型ライカを持ち出そうと改めて思った。

さて、復刻ノクチで撮影した代官山はいかがだったろうか?

私が想像していた以上に、街は柔らかく優しい情景となって記録されていた。

このレンズは90万円以上と高価ゆえ、万人におすすめできるものではない。ただ、初代ノクチをオマージュしたようなF1.2の大口径レンズはコシナから発売されている。価格も10万円前後と安価で描写も申し分ない。以前、当ブログで作例を紹介しているので、興味のある方は参考にしてほしい。

M型ライカユーザー必携の大口径レンズ!コシナの「NOKTON 50mm F1.2 Aspherical VM」は優れた和製ノクチルックスだった(作例あり)
「NOKTON 50mm F1.2」と「Noctilux-M 50㎜ F1.2 ASPH. 」の比較 高感度性能が向上したデジタル時代に大口径レンズは本当に必要なのか? フィルムカメラで仕事していた頃、F値の明るい大口径レンズは憧れだった。 とくに、レンズを通した画像が見える一眼レフだと、F値の明るさはファインダーの見え方に影響したからだ。大口径だと明らかにファインダーが明るい。明るいということはフォーカシングが楽だし、気持ちも良い。 それゆえ、フィルム時代、国内外のメーカーが大口径レンズの開発競争を繰り広げたのは、ある意味、当然の成り行きだった。 しかし、いまはミラーレ...

一方で、自分は貯金もたっぷりあるし、所有欲を満たせる復刻ノクチを手にしたいという方は、どんどん経験してほしい。これを経験することで、他のライカレンズを次々購入する沼地にはハマらなくなるだろう。

高級なプロダクトと個性的な描写、そしてライカブランド。

そんなエキスがたっぷり含まれた復刻ノクチを手に入れたら、ライカ病の典型的症状、預金残高が大きく目減りしていても笑いタケを食した後のように微笑を浮かべ、きっと、楽しい日々を送れるはずだ。

撮影に使用した機材

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