本格的なミラーレス一眼カメラ時代の到来
根強いソニーα7Ⅲの人気!マップカメラの新品デジカメ2月ランキング
私もよく利用するマップカメラが2月の新品デジタルカメラの人気ランキングを発表した。(出典元:THE MAP TIMES)
ちょうど1年前の2018年2月に発売されたSONYのα7Ⅲがいまだに人気No1というのは驚きである。そのくらいα7Ⅲは性能的にも機能的にもコストパフォーマンスが優れている証左ともいえる。
私もα7Ⅲを所有しているが、何の不満もない。昨年、キヤノンがRシリーズ、ニコンがZシリーズを発表し、フルサイズのミラーレスに参入したが、全く目移りしないのだ。
かつてニコンF3を仕事に使っていたので、実際、Zシリーズを触ってみたが、レンズも乏しく、かつ高額で、まったく準備不足である。しょうがないからニコンのカメラバックを買って帰った。
キヤノンやニコンは、今後、圧倒的な革新性や高品質で低価格の機種を開発しなければ、差は縮まらない気がする。
とうとう新品ベスト10から一眼レフ機が消えた!
ミラーレスの話になったので、もう一点、気になったことがある。
とうとう人気ランキングから一眼レフが消えた。跡形もない。
名実ともに本格的なミラーレス時代の到来である。
こうなると、ソニーのような卓越したセンサー技術を持っているメーカーは強い。
ソニーはAPS-C機のα6400のボディーにも、フラッグシップα9と同等の動体追尾機能を盛り込んだ。
ソニーの凄さはエントリーモデルであっても最上位機種の機能を惜しげなく搭載する点である。α6400のAFは世界1の最速をうたっているが、まさにAFの速さこそ、初心者には重宝する性能だ。
α6400は手ぶれ補正が付いていないが、動画機能も極めて充実し、自画どり可能なチルド式液晶を採用しているので、プロでも使いたくなる機種ではないだろうか。実際、YouTuberには好評で、次々と商品レビューがアップされている。
内容的にはエントリーモデルというよりも、十分、プロユースも可能な機種と言える。
神は細部に宿る!強いメーカーはエントリーモデルを見ると分かる
以前、コラムに書いたが、初心者こそ上位機種の性能が必要だし、プロは下位機種の性能でも使いこなすものである。
もうプロ仕様とエントリー仕様という分け方はやめた方がいい。分けるとすれば、「高級機種」と「廉価版」である。これだとユーザーは誤った選択はしないはずだ。
さらに付け加えれば、メーカーは「初心者にはこの程度のものでいいね」的なモノづくりをしていると、初心者はますますスマホで十分という気持ちになっていくと思う。
「私たちはスチール好きのハイアマに理解してもらえればいい」
こんな気持ちならば、カメラメーカーには未来がない。まさに、Canonの御手洗富士夫会長が言っていたように市場は縮小するばかりである。
スマホしか使ったことのないユーザーが欲しいと思うようなカメラとはどんなカメラなのか?
その命題に向かって、メーカーの知恵比べである。
その好例をCanonが見せてくれた。
Canonの伏兵・IXY200にカメラ作りのヒントを感じた
なぜコンデジのIXY200が人気ランキング2位なのか?
まさに、早春の椿事である。
Canonが2017年から発売しているコンデジIXY200が、今年2月、SONYの新製品α6400を抑えて2位に食い込んだのである。
IXY200は現在、実勢価格1万円ほどのコンデジである。見ようによってはスマホ的なボディと言えなくもない。(出典:Canon公式ページ)
正直言って、私は全く知らないコンデジだった。
ソニーRX100M6など10万円前後の高級コンデジが話題になることは多いが、1万円前後のコンデジが注目されたのは久しぶりではないだろうか。
面白いのは、キヤノンが2017年2月15日に発表したニュースリリースだ。
その中には、IXY200の写真も説明もない。あるのは、同じ日に発表された「PowerShot G9 X Mark II」の写真と説明文だ。IXY200は機種名の表記にとどまっている。もしかしたら、別に「IXY200」のリリースが存在するかもしれないが・・・
おそらく、一番驚いているのは、キヤノン自身かもしれない。IXY200に格別な期待をしていたとも思えない。そのIXY200が発売から2年経過したいま、なぜ人気が急上昇したのだろうか?
IXY200はオシャレで低価格!CCDセンサーも採用
業界最大手のキヤノンは高額な機種だけでなく、センサーサイズAPS-Cの「EOS Kiss M」といった低価格帯の機種を売り込むのも上手いメーカーだ。
そのキヤノンが2年前に発売したIXY200は、発売当初は2万円前後だったが、現在は1万円前後で買える。まさに、お手軽なコンデジだ。
機能・性能は突出したものがないが、スタイルはオシャレである。(カメラにとってシルエットは性能と同じくらい重要だと私は考えている)
しかし、なぜ、突然、売れ出したのか、疑問である。
そこで、先ほどのマップカメラのサイト「THE MAP TIMES」を読み返してみた。
前回は正直さほど気にしていなかった(……すみません…)のですが、私の知らない所で、何かブームになっているのでしょうか?!
1万円ちょっとという安さにまず目がいきますが、それでいて35mm判換算で28-224mmという十分すぎるズーム域を備え、そして何よりこのスタイリッシュさ!
ネックストラップで首から提げ、シャツの胸ポケットからさり気なく取り出しカシャッ…う~ん、いいかも…俄然気になりだしてしまったのは、ランキングの魔力でしょうか?(出典:THE MAP TIMES)
THE MAP TIMESのコラム筆者も、人気の本質を掴みかねている様子だ。
しかし、コラム氏も言っているように、確かに、私も「俄然気になる機種になりだしてしまった」のは事実だ。(笑)
IXY200はスマホに匹敵する小型軽量だが、スマホにない機能がある
私なりに、なぜ、いま、IXY200が人気なのか考えてみた。
その前に、あるYouTuberが、かつてライカがデジタルカメラのM9やM9-Pなどに採用していたCCDセンサーが搭載されているからではないかという噂?仮説?を語っていた。
確かに、私もCCDセンサーにグッとくるものがあるが、どうも、その説明はカメラマニア的すぎるような気がする。
むしろ、私が想像したのは、ズーム機能だ。
最近のスマホは、非常に画質が向上した。ファーウェイのスマホはライカレンズを採用し、ミラーレス一眼顔負けの美しいボケ味を実現している。
また、アップルのiPhoneXSはポートレートを撮影したあと、スマホ内で背景をボケさせる編集が可能だ。私もやってみたが、非常に美しい写真が出来上がり、「これじゃあ、若い人たちはスマホで十分と思うはずだ」と感心したものだ。
ただ、まだ、各社のスマホが未達の領域がある。それは高倍率ズームだ。
スマホより小型軽量なのにズームは446㎜まで可能!
まずは、IXY200とiPhoneXSのサイズを比較してみた。
キヤノン・IXY200 | アップル・iPhoneXS | |
サイズ(㎜) | 95.2×54.3×22.1 | 143×70.9×7.7 |
重さ(g) | 126 | 174 |
ご覧のように、IXY200の方が小型軽量だ。にもかかわらず、35mm判換算で高額ズーム8倍(223㎜)、デジタルズーム(キヤノンはプログレッシブファインズームと呼ぶ)だと16倍(446㎜)まで高倍率ズームが可能だ。
考えてみると、私がライカの最軽量コンデジC-LUXを購入したのは、360㎜まで高倍率ズーム(光学ズーム)が可能なことが決め手となった。
Leica C-LUXは360㎜までズームできるため、旅先や散歩でほとんどのシーンに対応できると考えた。同じような理由でキヤノンのIXY200を買い求めた人が増えたのではないか。しかも、実勢価格は1万円程度。何と言ってもオシャレである。
オシャレではないけれども高倍率ズームのデジタルカメラはたくさんある。逆に、高倍率ズームで小型軽量なオシャレカメラは意外に少ないのだ。
こんな話をしていると、スマホに負けない未来のカメラが見えてきた。それは決してダンベルのようなカメラではない。
性能や機能によりかかってコンシューマー向けに重いカメラを作り続けているようでは危険だと、カメラを愛しているが故に懸念するのである。