新型X-E4の魅力は軽量コンパクト以上にデザインにある
X-E3の元ハードユーザーが感じたX-E4の魅力とは?
最近、フジフイルムが元気だ。
従来機より50万円も安価な新型中判カメラGFX100Sを発表し、同社が想定する以上の注文が殺到しているのだという。
しかも、ミラーレス市場(20年1~9月テクノ・システム・リサーチ調べ)は、1位がソニー(35%)、2位がキヤノン(30%)、3位にはフジフイルム(12%)が躍進していた。日本の代表的カメラメーカー・ニコンは8%弱と、昭和から平成にかけてのニコキャノ時代は終わり、ソニー・フジの時代に移行しているようにも見える。(参考・日本経済新聞)
大手各社がフルサイズ競争で激しく戦うなか、フジフイルムは中判とAPS-Cに専念。中判はフルサイズ上位機種並みの価格戦略と小型軽量化で、APS-Cは徹底したデザイン路線で、さらにシェアを伸ばしそうな勢いだ。
フジ躍進の背景には、フィルムカメラのようなデザインの存在が見逃せない。「あのデザインなら手に取って使ってみたい」といった誘惑に駆られる機種が少なくないからだ。
「スマホが〜」とか、「コロナで〜」とか、カメラが売れない理由をあれこれ語っているメーカーは、虚心坦懐にフジフイルムの戦略を参考にしてみてはどうかと感じることが多々ある。
そのフジフイルムが中判GFX100Sと同時発表した小型軽量なAPS-C機X-E4を取り上げたい。中判GFX100Sはだいぶ安くなったとはいえ約69万円だ。一方、X-E4は約9万8000円だから、趣味カメラとして現実感がある。お散歩スナップや旅行記録といった用途であれば、X-E4が圧倒的におすすめだ。
私はかつてX-E3のハードユーザーだった。
300g台の小型軽量ボディ。それでいてフラグシップ機種とは同一のセンサーと画像処理エンジン。私は気づいたらX-E3ばかり外に持ち出し、他の上位機種は防湿庫の老名主となっていた。スナップに出かける際、ついついバックに入れてしまう小さな実力者。それがX-E3だった。
さすがに、高級コンデジX100Vが発売された際には、心を鬼にしてX-E3には旅に出てもらった。それから長いこと、どんな姿で登場するのか、楽しみに待ち続けた機種がX-E4だった。
現在、X100Vには満足しているため、当初、X-E4の記事化はスルーも考えたが、やはり取り上げない訳にはいかない。当ブログの読者にはFUJIFILMファンが多いからだ。私自身もまた気になって仕方がないカメラなのだ。
というわけで、X-E3の元ハードユーザーだった私が、主観と偏見を存分に交えてX-E4を語りたいと思う。
X-E4はフジフイルムの新オシャレ番長である
X-E4の最大の特徴は、端正なデザイン。X100Vに負けない”オシャレ番長”という風貌だ。
「X-E3はオシャレなデザイン」という人もいたが、私はそうは思わなかった。あのグリップの形状と正面上部のちょっとした傾斜がデザインを台無しにしていた。ただ、フジが提案する小型軽量なミニマリズムは、スナップ撮影には実に心地良かった。
新型X-E4はデザインが一新された。ボディ前面のグリップやAFモードのレバーが消えている。背面側もボタンが3つ、ダイヤルが1つ減った。さらにミニマリズムが徹底された結果、スッキリした姿に生まれ変わった。
細々した設定は撮影中ではなく撮影前に済ませて、フィールドに出たら無心でシャッターを切り続けて欲しいということなのだろうか。便利機能のリストラはM型ライカを見習ったのかもしれない。
見るからに手元に置いておきたいと思わせる小洒落たシルエットだ。このカメラで撮影していたら小粋な感じがする。シルバーは女性にも好かれそうだ。首からストラップでぶら下げいるだけで、ちょっとしたアクセサリーになるに違いない(笑)。
一方、ブラックはまさにM型ライカを彷彿とさせる端正で潔さを感じさせるシルエットだ。X-E3のような形状的なチープ感も感じられない。シンプルで格好良いデザインだと思う。
ただ、デザイン優先でグリップ部分をフラットにした影響で撮影時のグリップ力が低下したのは間違いない。このため、オプションで取り付けグリップやサムレストが併売されている。
周辺アクセサリーが用意されたのはいいが、その値段がいただけない。グリップが税込み1万円超、サムレストが約8000円。決して安くない。
ただ、私はX-E3の撮影にはAmazonで見つけたサムレストを使用していた。現在はデジタルのM型ライカにも全てサムレストを装着している。
サムレストはボディデザインを壊さず、グリップ力を格段に高める優れたアクセサリーだ。前面がフラットな機種は必須。このカメラで中望遠レンズを使用する人は取り付けのグリップも必要だ。撮影時の安定感が圧倒的に増して手振れ防止になる。
次に、スペックだが、今回、X100Vと比較したことによって、X-E4という機種の狙いが見えてきた。それは何か?
「X-E4 vs X100V」オシャレ番長のスペック対決!
X100VとX-E4のスペックを徹底比較!見えてきた指向性の違い
デザイン性に特化したともいえるX-E4だが、最大のライバルはやはり同じフジフイルムのX100Vではないか。X100Vのデザインもまた、なかなか素晴らしい。
100万円近いライカM10と並べても、ボディの質感は劣るものの、フォルムの美しさは良い勝負をしている。