銘匠光学「 TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH」は期待以上の描写力だった!安価であっても中華レンズは侮れない!(作例あり)

スナップ
スポンサーリンク

「 TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH」は中国メーカーの台頭を象徴するレンズ

初の中華レンズ!「TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH」を購入した理由

晴れてM型ライカのオーナーになったものの、ライカ純正レンズの恐ろしい金額を前に、購入のための金策や純正レンズに代わる代替策をあれやこれやと思案している人は多いのではないかと思う。

私もその一人である。長期保有していた株を利益確定するなどして、何とかレンズ資金を調達している状態だ。常用レンズならば、多少高額でも頑張って購入するが、年に数回ほどしか使わず、防湿庫の老名主になることが予見されるレンズは見送っている。

そのひとつが、ライカの誇る大口径レンズ「NOCTILUX-M F0.95/50mm ASPH.」。ライカストアで税込み146万3000円だ。昨年、私はアポズミクロンを購入したばかり。次々とレンズに散財するわけにはいかない。

ライカ最高峰アポズミは至高のスナップレンズ!代官山の小さな神社で初詣撮影(APO Summicron 50mm F2 ASPHの作例あり)
アポズミクロンは「ライカが世界一のレンズを生み出すメーカーの地位を揺るぎないものにするレンズ」 2021年の抱負と私が考えるカメラを楽しむ方法 あけましておめでとうございます。 残念ながら、新年もコロナ禍が続き、しかも過去最悪を迎えるなかでスタートした。現在、政府が緊急事態宣言を表明するのは確実視されている。 カメラ趣味人にとって旅行の機会が制限され、撮影の場は減少しそうだ。しかし、悪いことは永遠に続かない。「朝の来ない夜はない」と前向きに考えたい。 このところ、プロカメラマンは経済的危機に瀕しているようだ。最近はカメラマンや写真家が相次いでユーチューブに動画を上げている。少しでも動画コンテンツで稼ぎたいのだろう。 撮影の実力が不透明な人物が盛んに機材コンテンツを配信し、有料動画に引き込んだり、高額な写真やグッズを販売するといった信者ビジネスを展開する姿も見受け...

「NOCTILUX-M F0.95/50mm ASPH.」は大口径レンズだけあって重量700gと重い。ボディと合わせて1.5kgに迫る。私のスナップ撮影は平均2〜3時間。撮影中の体力消耗は可能な限り避けたい。それゆえ、私にとって常用レンズになりえそうにない。

しかし、一方で「f0.95という未知の世界を経験してみたい」という好奇心もある。

f0.95の大口径レンズといえば、2019年10月、ニコンもライカに対抗してMFレンズ「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」を発売した。こちらも約100万円と高額だ。しかも、重量はなんと約2kg。とても気楽に持ち出せる代物ではない。

そんななか、昨年2020年9月、中国・深圳の銘匠光学が「TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH」を発売した。価格は税込み8万8000円。サイズや重量はノクチ並み。ルックスも似ている。

いろいろな作例をみたが、決して「安かろう、悪かろう」のレンズではなさそうだ。百聞は一見にしかず。まずは自分の目で確かめてみたいと考え、「TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH」を購入した。

私にとって、「TTArtisan」は初の中華レンズだ。

中華レンズの中では高額帯のレンズだが、それでも「NOCTILUX-M F0.95/50mm ASPH.」の「16分の1」、「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」の「10分の1」の値段である。

これでf0.95の世界を覗けるのなら、悪くはない。

本家ノクチとTTArtisanの外観はそっくりだが、レンズ構成は異なる

安いにもかかわらず、その外観や性能の酷似ぶりから、ジェネリック・ノクチとも言われる「TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH」。購入直後のfirst impressionだが、レンズはずっしりと塊感があり、鏡胴の作り込みは高級感たっぷりだ。収納ケースも特別感のあるものだった。

ブラック鏡胴は、本家ノクチがプラスチック製のキャップなのに対し、TTArtisanはアルミ掘り出し。レンズへの装着感やフィット感も素晴らしい。

本家ノクチのオーナーが手にしたら「ノクチは130万円以上のレンズなのだから、キャップくらいプラではなくTTArtisan並みにして欲しかった」と思うに違いない。(なお、ノクチのシルバー鏡胴はアルミ製のかぶせ式が採用されている。お値段はさらに4万円ほど高くなる)

鏡胴のフォントは当然、ノクチとは微妙に異なる。「ノクチの方がかっこいい」とおっしゃる方も散見されるが、実用レンズなのだから、私は気にならない。むしろ、ノクチと同じなら問題だ。

では、双方のサイズやスペックを比較してみたい。

NOCTILUX-M F0.95/50mm ASPH.TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH
F値0.950.95
レンズ構成5群8枚8群11枚
フィルター径60㎜67㎜
最短撮影距離1m0.7m
サイズ(最大径×長さ)73×75.1㎜67×82㎜
重量700g690g
価格(税込み)146万3000円8万8000円

サイズはほぼ一緒。フィルター径はノクチがやや小さいが、重量はTTArtisanがやや軽い。最短撮影距離はTTArtisanが30センチほど寄れる近接性能となっている。

レンズ構成はノクチが「5群8枚」に対し、TTArtisanは「8群11枚」。TTArtisanはノクチの完コピレンズというよりもオマージュレンズと言った方が適当かもしれない。

では、作例をご覧いただきたい。

全て開放f0.95で撮影!「 TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH」の昼夜作例

背景ボケは柔らかく被写体の特別感を演出してくれた(昼の撮影)

今回はf0.95という大口径レンズなので、昼夜双方の撮影を実施した。カメラボディはLeica M10-P。シャッタースピード(SS)を稼ぐため、昼間はNDフィルターを使用した。なお、すべてf0.95開放で撮影した。

まず、最初に紹介したいのは、東京・中目黒の閑静な住宅街に佇む長泉院附属現代彫刻美術館。日本の彫刻家の作品が本館と野外に展示されていて、入場料は無料。多くの人たちに日本の現代彫刻の魅力を知って欲しいという館長の思いが漂う美術館だ。

新型コロナの感染拡大を防止するため、1月15日から休館となっている。その佇まいといい、心意気といい、名美術館だと感じている。繰り返すが、入館料は無料だ。(公式ホームページ

まずは余計な私の解説や感想は抜きにして、素晴らしい作品とその描写をご覧になって欲しい。

「光」 作者・川崎普照 現代彫刻美術館

「光」 作者・川崎普照 現代彫刻美術館

「波に乗れ」 作者・田中毅 現代彫刻美術館

「風・道」 作者・峯田義郎 現代彫刻美術館

「AWAITING GREEN WIND」 作者・三木俊治 現代彫刻美術館

「AWAITING GREEN WIND」 作者・三木俊治 現代彫刻美術館

「行動衆 ’84」 作者・三木俊治 現代彫刻美術館

「行動衆 ’84」 作者・三木俊治 現代彫刻美術館

「陽」 作者・川崎普照 現代彫刻美術館

「想」 作者・川崎普照 現代彫刻美術館

ご覧のように、「TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH」は背景が綺麗にボケるので、被写体をより立体的に描写する。寄り気味の撮影では背景がとろけ、しかもボケがうるさく感じないのが印象的だった。

ピント面はしっかり解像し、彫刻の質感もリアルに再現してくれた。上品かつ高級感を感じる描写だった。

夜の背景ボケは上品かつ美しかった(夜の撮影)

次は夜間。こちらも全てf0.95開放で撮影した。

ただ、夜間はNDフィルターを装着しなかった。ところが、f0.95開放は想像以上に明るく、イルミネーションが輝く恵比寿ガーデンプレイスでは「NDフィルターをつけた方が良かったかな」と感じる場面もあった。そのくらい、f0.95の明るさは強力だった。

また、f0.95開放時の被写界深度はものすごく浅い。老眼の私は、夜間にマニュアルフォーカスでピントを合わせるのは厳しいだろうと覚悟して撮影に臨んだ。ただ、仮に合焦しなくても、それなりに絵になるのが大口径レンズの利点でもある。

では、ご覧ください。

上の写真でピント面の描写は実にシャープだと実感した。さらに、次の写真では夜間の背景ボケの柔らかさも確認できた。

次の写真は、開放f値で遠景を撮影したものだが、全体的な絵作りが上品だった。

撮影者:M10-P+ TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH

撮影補助:さきょう

撮影を終えて感じたこと

最近、中国のレンズメーカーが著しい成長を遂げている。

中華レンズの「安かろう、悪かろう」は昔話となりつつある。侮っていたら、日本の国内メーカーは脅かされる日が到来するかもしれない。

まさに、「TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH」は、そんな思いを抱かせるレンズだった。

中国メーカーが成長した背景には、コンピューターで光学設計できる時代になったことや、良質な硝材が手に入りやすいこと、カメラ好きな中国人が多くビジネスチャンスが拡大したことなどが考えられる。

香港在住の日本人コレクター・久保田さん(通称・師匠)は、「NOCTILUX-M F0.95/50mm ASPH.」と「 TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH」の両方を所有し、撮り比べたそうだ。しかし、描写はほとんど変わらなかったという。

このため、師匠は「ノクチオーナーはみんなTTArtisanも買うべきだ」「この2本でワンセット」と提唱している(笑)。値段が16分の1で、この品質と性能。中国メーカー、恐るべしである。

Leica or TTArtisan f/0.95 50mm対決 Live

ただ、ひとつ注意が必要なのは、某ユーチューバーが「TTArtisanは周辺にマゼンダ被りが発生する」とレビューしている点だ。

レンズ到着後、まずはこの点を確認した。

動画を見ると、彼が使用しているカメラは、前世代のM(Typ240)だった。私もM(Typ240)で撮影してみたが、確かに、少しだけマゼンダ被りの様なものが発生する写真もあった。しかし、M10-Pで撮影してみると、マゼンダ被りはなかった。

ここからは私の推測。「 TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH」の発売は2020年9月。したがって旧型のM(Typ240)ではなく、現行のM10系カメラに最適化したのではないかと思う。

人間の視覚より明るい「f0.95」の世界を8万円台で経験できる時代となった。光学技術の発展と拡散は、価格の民主化をもたらした。「 TTArtisan 50mm f/0.95 ASPH」は、その象徴的レンズだともいえる。

めぐりめぐる時代の恩恵に感謝したい。

今回の撮影に使用した機材は以下の通り。

コメント

テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました