富士フイルムが高級コンパクトデジカメ「FUJIFILM X100V」が正式に発表しました。
2017年2月23日に発売されて以来、いまなお大人気の「X100F」の後継機ですが、新型「X100V」はどこまで進化したのか、両モデルを比較してみたいと思います。
X100Xは世界最高のAPS-Cコンデジ
X100VはM型ライカを彷彿とさせるフォルム
私がいま、APS-Cセンサー搭載の高級コンパクトデジタルカメラ「X100V」に最も注目しています。
カメラにとってフォルムはとても大切です。スタイリッシュなカメラであれば、外に持ち出すモチベーションが高まり、撮影枚数も増えるものです。
カメラは撮影してナンボの世界。シャッターを切らなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。
X100シリーズは、光学式と電子式の切り替えが可能な「アドバンスト・ハイブリッドビューファインダー」を搭載したデジタルカメラです。
レンジファインダーのM型ライカのようにファインダーの覗き窓があり、他の一眼レフや一眼ミラーレスカメラとは全く異なるクラシカルでスタイリッシュなフォルムとなっています。
今回発表されたX100Vは、カメラの最高峰ライカM10を彷彿とさせるフォルムを一層強く身に纏った印象です。(写真上がX100V、写真下がLeicaM10)
これだけスタイリッシュだと、漬物石のような大きく重い一眼レフカメラや高級カメラより、積極的に持ち出したくなるカメラといえます。
X100Vは最上位機種X-T3と同じ第四世代のセンサーを採用
ボディのフォルムと同様、機能や性能の進化も気になる点です。
X100F発売以来、3年ぶりとなるだけに、今回はかつてないほど大幅な変更となりました。
その中でも大きな改善点は次の3つだと考えています。
- 最上位機種X-T3と同様の最新センサーと画像処理エンジンを搭載
- 開放F2では甘かったレンズを非球面2枚の新型レンズに変更
- 液晶モニターが固定型からチルト式に変更
X-T3と同じ最新のセンサーや画像処理エンジンを搭載して、AFの速度や正確性の改善や、さらなる画質向上をはかっています。
私は同様のセンサーと画像処理エンジンを積んだX-T3とX-T30を使用していますが、全く不満を感じていません。
X100Vも同じレベルに引き上げられたというのは、とても魅力的です。
また、F2開放からシャープな写りが期待できる新型レンズに変更されました。
先代X100Fのふんわりした写りが好みの人もいたと思いますが、開放でのクセのある写りに不平不満を漏らす人は少なくありませんでした。
富士フイルムはその点を考慮したものと思われます。
近代レンズはF値開放からシャープなレンズが主流なので、X100Vも現代レンズを身につけたと言っていいのかもしれません。
そして、これも大きな変更点だと思いますが、背面の液晶モニターが固定式からチルト式に変更されました。
チルト式の採用によって、ローポジションからの撮影が楽になりました。
さらには、街中のスナップ撮影はファインダーを覗いたスタイルの撮影は街ゆく人に警戒されてしまいます。しかし、チルト式ならば、うつむいてモニターを見ながら何気ない撮影が可能で、撮影スタイルの幅を広げることができます。
新型X100Vはスナップカメラとして、より一層、実用性も高めたといえます。
ただ、それ以外にもX100Vは多くの点で進化を遂げました。先代X100Fと徹底比較していきたいと思います。
最近機種X100Vと前モデルX100Fを比較
有機ELファインダーや防滴防塵、4K動画にも対応
新型X100VがX100Fから変化した点をまとめたのが下記の表です。
X100V | X100F | |
---|---|---|
画素数 | 約2,610万画素 | 約2,430万画素 |
センサー | X-Trans CMOS 4センサー | X-Trans CMOS IIIセンサー |
画像処理エンジン | X-Processor 4 | X-Processor Pro |
レンズ構成 | 6群8枚(非球面2枚) | 6群8枚(非球面1枚) |
光学ファインダー | 視野率約95% 倍率約0.52倍 |
視野率約92% 倍率0.5倍 |
電子ファインダー | 0.5型有機EL 約369万ドット |
0.48型 約236万ドット |
背面モニター | 3.0型タッチパネル 約162万ドット チルト式液晶モニター |
3.0型 約104万ドット 固定式液晶モニター |
ISO感度 | 標準:160-12800 拡張:80/100/125/25600/51200 |
標準:200-12800 拡張:100/25600/51200 |
内蔵NDフィルター | 4段分 | 3段分 |
動画 | DCI4K:(最高)29.97p 4K: (最高) 29.97p 連続最大10分まで FullHD:59.94p 連続最大約15分 FullHD:120p 連続最大約6分 |
FullHD:59.94p 連続最大約14分まで HD:59.94p 連続最大 約 27分まで |
防滴防塵 | アダプター・フィルター装着時対応 | – |
サイズ | 128×74.8×53.3㎜ | 126.5×74.8×52.4㎜ |
重量 (バッテリー、メモリーカード含む) |
約478g | 約469g |
表から分かるように、画素数、光学ファインダーの視野率拡大、有機ELファインダー、液晶モニターのタッチパネル、4K動画、防滴防塵対応など、あらゆる部分を向上させています。
とくに、チルト式液晶モニターを搭載しながら、重さや大きさを微増にとどめたのは、開発陣の努力の結晶だと思います。
しかも、液晶モニターが閉じた状態ではチルトに見えないように背面がフラットになるよう精巧な工夫が施されています。
ただ、スナップという手持ち撮影に最適なカメラなので、ボディー内手ぶれ補正は搭載して欲しかったと思います。
この点は次期モデルに期待ですね。(主な仕様・富士フイルム公式サイト)
X100VとX100F、どちらを買うべきか?
最後に、発売日と価格ですが、X100Vはシルバーが2月下旬、ブラックが3月に発売予定となっています。
市場想定価格は、いずれも16万4500円(税別)。
X100Fは初値(2017年2月)が13万9271円だったので、消費増税分(2%)を加味したとしても、X100Vはやや高値のスタートとなりそうです。
では、現在の実勢価格と比較してみます。(価格.com・2月5日現在の最安値)
X100V(シルバー・ブラック) | X100F(シルバー) | X100F(ブラック) | |
新品 | 16万4500円 | 9万5455円 | 9万8217円 |
中古 | – | 7万9970円 | 7万9970円 |
X100Vはコンデジでありながら、16万円台想定しているのは、なかなか強気です。
それだけ人気機種だと言うことでもありますが、そこまで出費できないという人も少なくないと思います。
X100Fは1世代古くなると言っても、多くのユーザーがコンデジの完成形とも言っていた名機であることには変わりありません。
X100Vが発売されたら、さらにX100Fの価格がこなれる可能性もあるので、そこを狙うのも賢い選択かもしれません。
逆に、「最新のX100シリーズが欲しい」「開放F値