ニコンが初のAPS-CミラーレスカメラZ50を発表
ニコンが初のAPS-Cカメラに参入した意義は大きい
ニコンが初のAPS-CミラーレスカメラZ50を発表しました。予約は10月12日スタートで、発売は11月下旬を予定しています。
カメラ業界をリードしてきたニコンとキヤノンは、一眼レフにこだわるあまり、ソニーが牽引するミラーレス分野で出遅れていました。
しかし、昨年、キヤノンはEOS-RとEOS-RP、ニコンはZ6とZ7とフルサイズミラーレスを発売し、反撃を始めました。
そんななか、ニコンはフルサイズよりもセンサーサイズが小さいAPS-CミラーレスZ50を発表しました。
ソニー、フジフイルム、キヤノンがシェアを分け合うASP-C市場にニコンも参入したことで、各メーカーがより魅力的なAPS-Cカメラや対応レンズの開発を競うことになると思われます。
とくに、私は30年余前、初めて仕事で使用したのがフィルムカメラのニコンF3でした。
現在所有するカメラは、ライカ、ソニー、フジフイルムのミラーレスですが、今後、ニコンの機種や対応レンズが増えてくれば、選択肢が広がります。
しかも、今回のニコンZ50はとても魅力的なAPS-Cミラーレスカメラだと感じました。
その理由について解説したいと思います。
ニコンZ50は自撮り用に下方180度チルド式を採用

image:ニコン公式サイト
最近、各メーカーが発売するミラーレス一眼カメラは、オートフォーカスも迅速で画質も向上し、写りの悪いカメラを探す方が難しいくらい水準が上がりました。
今回のZ50についてもニコンは「(フルサイズの)Z7、Z6同等の画づくりが可能」としています。
ですから、細かいスペックを分析するのはナンセンスではありますが、主なスペックを整理しました。
主な仕様 | ニコンZ50 |
有効画素数 | 2088万画素 |
EVF | 236万ドット |
IOS | 100〜51200 |
AF | 位相差AF/コントラストAF |
フォーカスポイント | 209点 |
4K動画機能 | 4K(30p/25p/24p) |
動画記録時間 | 最長29分59秒 |
録音装置 | 内蔵ステレオマイク、外部マイク使用可能 |
液晶モニター | 下方に180°展開チルト式、タッチパネル、104万ドット |
重さ | 約450g(バッテリー・SDカード含む) |
サイズ | 約126.5×93.5×60mm |
価格 | ¥107,910 |
スペックに現れない部分としては、小型でもしっかりとホールドできるグリップ形状に注目です。

image:ニコン公式サイト
ニコンは人間工学に基づいているかのように重さを感じさせないようなグリップ形状が得意ですが、Z50も同様の考え方を踏襲しています。
ただ、ボディ本体に手ブレ補正を内蔵していないのは残念な点です。
一方で、液晶モニターは下方に108度展開するチルド式を採用し、自撮り撮影にも対応しました。
バリアングルと違って下方展開の自撮りモニターは、三脚では使用できない欠点があります。
それでも自撮り対応のモニターに魅力を感じるユーザーは少なくないと思われます。
バリアングルは今後の新機種に期待しましょう。
ニコンZ50の最大の魅力はキットレンズ
ニコンZ50はキットレンズが魅力的だ

image:Nikon公式サイト
今回のZ50の発表で、私が最も魅力を感じたのはキットレンズでした。
とくに、35mm判換算で標準域24-75mmをカバーする「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」は、沈胴時は長さ約3センチ、重さは約135gの超小型軽量なズームレンズです。
レンズには4.5段分の手ぶれ補正も内蔵されているので、暗所ではシャッタースピードを落としてもブレない写真を撮影することができそうです。
さらに、キットレンズなのに防滴防塵。ニコンのレンズだけあって光学性能は良く、作例を見る限りでは発色も自然です。(撮影サンプル)
こんなコンパクトな標準ズームレンズが欲しかったという人は多いのではないでしょうか。
何よりも、このレンズ、フォルムが秀逸です。

NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
もう一本のキットレンズは、中望遠75〜375mm(35mm判換算)までカバーする「NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR」。こちらは、さらに手ぶれ補正が強化されて5.0段となっています。

NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR
望遠ズームにもかかわらず、長さ11センチ(沈胴時)、重さは約405g。小型軽量というAPS-Cのコンセプトを損なわないレンズです。(撮影サンプル)
ニコンZ50の価格とライバル機種はどれか?
Z50はダブルズームレンズキットにお得感ありか
予約が開始された10月12日現在、市場価格は次の通り。(いずれも税込み)
- Z50ボティー本体 10万7910円
- Z50+16-50 VR レンズキット 12万5820円
- Z50+ダブルズームキット 15万2850円
ダブルズームキットとボディーのみの価格差は4万4940円。
つまり、約4万5000円で、あの軽量コンパクトな標準ズームと中望遠ズームレンズが手に入る計算になります。
予算が許せば、ダブルズームキットがお買い得のような気がします。
激戦区のAPS-C市場!Z50のライバル機種は?
ニコンZ50は、次のようなユーザーに人気が出そうです。
- すでにフルサイズのZ6やZ7を所有するユーザーがサブカメラに検討
- スマホよりミラーレスカメラで自撮りや静止画・動画を撮影したい新規ユーザー
では、ライバル機種はどれになるのでしょうか?
私の見るところ、APS-C機の中では、手ぶれ補正内蔵で上方に180度展開のチルド式液晶モニターを備えたソニーα6600が他の機種を一歩引き離しているように見えます。
ですから、α6600は別格として、ニコンZ50のライバル機種は、ソニーでは手ぶれ補正のないα6400、コストパフォーマンス抜群のキヤノンkiss M、そしてX-T3と同等の画質となっているフジフイルムX-T30と思われます。
その4機種のダブルズームレンズキットの価格を比較したのが、次の表です。(10月12日現在の価格.com最安値)
ニコンZ50 | キヤノンKiss M | ソニーα6400 | フジフイルムX-T30 |
2019年11月下旬予定 | 2018年2月発売 | 2019年1月発売 | 2019年2月発売 |
15万2850円 | 8万0979円 | 11万4252円 | 13万6220円 |
この中でキヤノンKiss Mの安さが際立っています。
発売日は2018年2月と最も古い機種ですが、タッチ操作対応のバリアングル液晶モニターを装備して、ダブルズームキットが8万979円ですから驚きです。
キヤノンのKiss Mは発売以来、安定的によく売れていますが、この価格戦略が消費者には支持されているのかもしれません。
というわけで、今回発表されたニコン初のAPS-CミラーレスカメラZ50は、今後、消費者の支持をどれだけ集めることができるのか注目の機種になりそうです。