ライカを倒産寸前に追い詰めたニコン一眼カメラ
ライカを窮地に追いやったニコンF3という名機
いまから40年近く前、私はニコンF3を仕事に利用していました。
当時は今ほどのライカ神話はなく、むしろ一眼カメラでライカの販売を激減させたニコン神話が私には強く印象深いものでした。
そのニコンのフラッグシップF3が私が人生最初のカメラでした。
子供の頃からカメラが欲しかったのですが、高くて買えませんでした。大人になって仕事でカメラが必要になったとき、最も高額なカメラを選択したのですが、それがF3でした。
雨の中の撮影にも過酷な現場でも耐え続けてくれた名機でした。
デートにも持ち出したりしましたが、さすがにバックの容量を占領してしまい、趣味の撮影には向かないなと思ったものです。
カメラメーカーの伝統とは?
猛暑のなか、ニコンF3は高知のよさこい祭りで汗だくの女性たちを激写し、火災現場では頭上から降りしきる放水につかったり、共産党時代のソ連モスクワのクレムリンでゴルバチョフ大統領を見事に写真に収めてくれました。頼りになる相棒でした。
当時は会社にニコンの担当者が来てくれて定期的にメンテナンスしてくれたのですが、現場を離れてからは、自宅に放置していたため、電源部分が腐食していまは使えなくなりました。
ただ、青春の思い出がたくさん詰まったカメラなので、捨てるに捨てられず、いまでは立派なオブジェとして活躍してくれています。
日本のカメラメーカーが世界のライカを倒産寸前まで追い詰めた名機F3。
そのF3と同じスタイルのカメラを製造し続けなかったニコンがいまは逆に苦しい経営に転落しました。
逆に、窮地の最中でもレンジファインダー式のボディースタイルを守り続けたライカは、いまや完全復活を遂げたのは歴史の妙としか言いようがありませんね。
最近、ソニーαシリーズや富士フイルムが同じスタイルのカメラを作り続けているのは、ライカにスタイルが創生する伝統というものを学んでいるのかもしれません。
私が富士フイルムを愛用する理由
カメラ撮影は好きではなかった
毎日、仕事でカメラを使っていた頃、正直言って撮影は億劫でした。
デートにカメラを持ち出しても仕事の延長線上のような気分になって心が休まらなかった覚えがあります。
仕事としてのカメラ撮影は大変かつ難しいものでした。カメラは撮影、現像、焼き込みの作業に追われた日々を思い出させる道具であり、長年、遠ざかっていました。
10年ほど前、セカンドハウスが欲しくなって、東京・中目黒の目黒川沿いにある中古マンションを下見したとき、その部屋には現像用の暗室があり、暗室にはあの酸っぱいような懐かしい香りが漂っていました。
最終的には購入しませんでしたが、自由人となった今は少し後悔しています。
カメラを愛でる感情を再起させてくれたのが、デジタルカメラでした。
悠々自適な人生を具体的に考えたとき、富士フイルムのX-T20に出会い、その形の懐かしさ、可愛らしさに惚れて、即座に購入しました。
富士フイルムの魅力とは何か?
下記の写真はX-T20購入直後に試し撮りしたもので、レンズはXF35mmF1.4 Rです。
控えめな小さなボディーと端正なルックス、それでいて写し出す写真はライカのような風味があり、俄然、デジタルカメラの面白さに開眼しました。
デジタルは現像する必要がなく、撮影画像を現場ですぐに確認することもできます。
しかも、富士フイルムは伝統的なフイルムメーカーだけあって色味がよく全体的な絵作りに優れています。
いまの若い人は、こんなカメラ文化に容易にアクセスできるのですから幸せだと思います。
車を購入するには、購入後の維持・管理コストが大変ですが、デジタルカメラはフィルムカメラのように購入後に大きな出費もなく、実に経済合理性の高い趣味です。
にもかかわらず、カメラ業界が衰退しているのは、ノイジーマイノリティーの声ばかり参考にしてサイレントマジョリティーの心を深く考えない業界の努力不足としか言いようがありません。
X-T20から始まった富士フイルムとの付き合いは、最も小型なX-E3、X-T20の後継機X-T30、上位機種のX-T3と続くわけですが、いま、最も欲しいカメラがあります。
それは何か?
X100VとX-T4は理想的なカメラ
X100VとX-T4が2020年最大の目玉
おそらく1両日中にも、富士フイルムの人気コンデジX100Fの後継機X100Vが発表されるはずです。
上記画像はデジカメ情報局が掲載したX100Vのブラックボディ。こうした画像がリークされ始めているということは発表間近ということかもしれません。
また、2月下旬のCP+直前には富士フイルムのフラグシップX-T4も発表され、手ぶれ補正とバリアングルが搭載されれば、今年前半はYouTube上でも相当な話題に上ることが予想されます。
私はいずれも購入を検討しています。
その理由はまた別の機会に詳しく述べたいと思いますが、X100Vはもともと現行のX100Fを購入する予定でしたが、後継機の発表が近いと噂されて1年ほど待っていました。
X100Vの日本語版カタログをみると、コンデジのX100Vは、X-T3と同じセンサー(26.1MP X-Trans CMOS4)なので、AF速度や正確性は向上し、さらにはF2開放からクリアなレンズに変更されるものとみられます。
スナップ用APS-Cコンデジとしては完成形だと感じるので、今年最初に購入する機種となりそうです。
もうひとつのX-T4ですが、今後、どのメーカーも上位機種には手ブレ補正とバリアングルは一般的な装備となると思われます。
昨年末、X-T3で大学ラクロス試合を夜間撮影したのですが、非常に取れ高が低くガッカリしました。手ブレ補正がない機種はどうしても暗所撮影が不利になります。
その意味で、手ブレ補正とバリアングルのないX-T3はスチールでも動画でも中途半端なモデルです。
しかし、X-T4は手ブレ補正とバリアングルが搭載されるという観測がもっぱらなので、今年の購入候補に入れたいと考えています。
富士フイルムは最新でなくても十分楽しめる
愛カメ遍歴に戻りたいと思いますが、現在のX-T3、X-T30、X-E3は最高のラインナップだと考えています。
X-T3とサブのX-T30は、動画の4K60Pが可能か否か程度の違いで、性能はほぼ同じです。むしろ散歩に持ち出しやすいのはX-T30ですから、第四世代と呼ばれる最新センサー機の中では最もコストパフォーマンスの良いモデルです。
しかも、軽量コンパクト。これは重要なポイントになってきます。
もう一つ、X-E3はレンズ交換式カメラの中では最強のスナップカメラだと考えています。
私は上記写真のように右からのX-E3のロゴは黒いテープで隠しています。これによって、カメラのステルス性を高めています。
街中のスナップカメラは、控えめなカメラこそ最上のカメラだと考えています。
ライカはM10-PやM-Pをロゴなしにしているのは、スナップのステルス性を考えているのだと思います。
これからスナップを始めたいと言う人は、X-E3かX100F、あるいは今後発表されるX100Vを選択するのが最善だと思います。
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