レンズ交換式のデジタル一眼やミラーレス一眼がスマホにシェアを奪われる状況が続いています。
カメラ業界はレンズ交換式カメラの逆襲に試行錯誤を繰り返していますが、Appleが9月に発売したiPhone11シリーズとソニーRX100M7はレンズ交換式カメラの衰退を早める決定打になるかもしれません。
いろいろ考えた末、私は9月下旬にAppleのiPhone11 Proと高級コンデジのソニーRX100M7を注文しました。
iPhone11 Proは10月1日に到着しましたが、RX100M7は大人気なため、到着は10月後半まで待たなくてはいけないようです。
私はライカM10やソニーα7Ⅲ、富士フイルムX-T3を所有していますが、なぜ、いま、iPhone11 ProとソニーRX100M7を購入したのか?
もしかしたら、この二つがあれば、私のカメラ生活に不自由はない、むしろ十分すぎるほど十分だと思ったからです。
私の購入理由を説明したいと思います。
小さなiPhone11 Proがレンス交換式カメラを超えた!
レンズ交換式カメラには不可能な手軽な超広角レンズ
iPhone11 ProとRX100M7の共通点は、ともにレンスを交換する必要はないということです。
iPhone11 Proは超広角・広角・望遠の3眼レンズを搭載。しかも、ポートレートや旅行、風景撮影には程よい焦点距離となっています。
レンズの焦点距離(35mm判換算)とレンズの明るさを示すF値は次の通りです。
- 超広角 13mm F2.4
- 広角 26mm F1.8
- 望遠 52mm F2.0
とくに、魅力的なのは13㎜の超広角。レンズ交換式カメラの場合、13㎜の超広角レンズは重くて高価になるのは避けられません。
しかし、iPhone11 Proは200gほどのスマホでありながら、超広角撮影ができるのです。
重くて高価な超広角レンズを探す旅から、私は解放されました。
iPhone11 Proは画質も十分美しい
ただ、「スマホはセンサーサイズが小さいから画質に難がある」と、スマホの画質に問題点を指摘するハイアマもいます。
しかし、「その画像はどこに出すのですか?」と、アウトプット先をたずねたいのです。
PCのモニター画面?それともプリントのL判(89×127㎜)?2L判(L判の2倍)?
いずれにしても、その程度の大きさなら、iPhone11でも十分美しい写真になるはずです。
Appleは今後、複数枚の写真から1ピクセルごとに画像を最適化し、1枚の写真を作り上げる「Deep Fusion」のアップデートを控えています。
センサーサイズが小さいというスマホカメラの弱点に、この「Deep Fusion」が革新を引き起こす可能性があります。
上記は、Appleが公式サイトに公開した超広角の写真です。
超広角は、狭い場所での撮影に便利ですが、広大な風景を撮影すると迫力が全く違うものです。
レンズ交換式カメラならバックから超広角レンズを取り出して、センサーにゴミが付着しないように注意深くレンズを取り付け、そして撮影です。
しかし、ポケットからiPhoneを取り出して簡単に撮影できる時代になったのです。
iPhone11シリーズには、いろいろな意味でイノベーション(革新性)を感じます。
RX100M7は静止画も動画も望遠も優秀なモンスター
大きくて重い望遠レンズからも解放!
ソニーの最高峰といえば、フルサイズミラーレスのα9です。
爆速のAF(オートフォーカス)性能ゆえに、激しく動くスポーツ撮影でもビクともしないプロ仕様の高級カメラです。
そのα9と同等のAF性能を備えたのが、わずか300gのRX100M7です。
しかも、連写してもブラックアウトフリー。4K動画はバッテリーがなくならない限り30分以上でも撮影でき、液晶モニターは180度チルド式のため自撮りにも便利。手ブレ補正も搭載し、よくも、こんな小さなボディーにこれだけの機能を詰め込んだと関心させられるコンデジです。
私は2016年に発売されたRX100M5を所有していますが、小型軽量ゆえに海外旅行には欠かせないカメラとなっています。
そのM5はAFが0.05秒と遅くはないのですが、M7は0.02秒と2.5倍速になりました。
しかも、M5は焦点距離が24〜70㎜のため、昨年夏のアジア旅行の際には「もう少し望遠があったらいいのに」と思った場面もありました。
しかし、RX100M7は24〜200㎜なので、海外旅行や日常生活で不足を感じることがなくなりそうな焦点距離です。
カメラの経済合理性を考えた結果とは?
カメラを選ぶ際、私は次の3点に着目しています。
- 小型軽量(携帯性)
- イノベーション(革新性)
- 機能・性能と価格のバランス(経済合理性)
小型軽量という点では、iPhone11Proが188g、RX100M7が302g。いずれも理想的です。
次のイノベーション(革新性)という点では、これまで述べてきた通り、小さなボディーに驚きの性能や機能が満載されている点ではイノベーションそのものと言えます。
最後は機能・性能と価格のバランスです。
私が購入したiPhone11ProはSIMフリー、ストレージ256GB。Apple Storeで約14万円。もう一つのRX100M7も約14万円でした。
合計すると28万円ですが、それで超広角13㎜から望遠200㎜までカバーできるということになります。しかも、両方合わせても重さは500g未満という軽さです。
もしも、レンズ交換式カメラを購入し、超広角13㎜から200㎜までカバーするレンズを取り揃えたとして28万円で可能でしょうか?
相当グレードを落とさなければ、28万円以内で収めることはできません。何よりもカメラとレンズで、重さが合計500gというのは不可能です。
小型軽量、革新性、経済合理性の3点を考慮すると、RX100M7とiPhone11Proの組み合わせが最強だと考えました。
コメント
まさに今自分が迷っている機種の考察だったので興味深く拝見させて頂き、非常に参考になりした。
ちなみに、この2つのカメラを使い分けるのはどのような意図なのでしょうか?
動画を撮る事を考えた場合、この2つの機種にはどのような用途の違いがあるのか教えて頂けると幸いです。
コメントありがとうございました。
基本的には動画ではなく静止画の使い分けを想定しています。
RX100M7の焦点距離は24〜200㎜で広角側は24㎜。一方、iPhone11Proの超広角は13㎜でより広く撮影することができます。
ですから、双方で13㎜から200㎜までカバーできるという考え方で両方を保有しています。
旅行などで長距離を徒歩で観光する場合、大きなカメラ機材は負担になりますが、iPhoneとRX100なら負担感はありません。
実際、昨年、バンコクを旅行した際、市内の寺院観光は長距離歩き、RX100シリーズの小型軽量の恩恵を感じることができました。
私は動画はあまり撮影しないのですが、いま改めて確認しましたが、iPhoneは動画も静止画と同じように焦点距離を選択できるので、静止画と同じ考え方になります。
丁寧な返信ありがとうございます!なるほど、より広角をiPhoneが、より望遠をrx100m7が担当する感じですね。わかりやすくご説明頂き納得致しました。
質問ばかりで大変恐縮なのですが、背景が綺麗にボケるようなシネマティックな動画(静止画)をメインに撮ろうとした時は、やはりα6600などで単焦点レンズを使用した方が良いでしょうか?rx100m7は一眼+単焦点レンズのように綺麗に背景をボカす撮影には向いてないでしょうか?
背景ボケという点では、α6600などAPS-Cカメラを選んだ方がいいと思います。
RX100M7でも可能ですが、センサーが1型と小さく決してF値も明るくはないので、どうしてもボケは不利になります。
背景ボケを意識したシネマティックな動画や静止画を本格的に撮影したのならAPS-C機、手軽に持ち歩いてそこそこの画質で記録を残したいのならRX100シリーズではないでしょうか。
先日、RX100M7で撮影したスナップ写真をブログにアップしましたが、どちらかといえば全体的にくっきり鮮明な画像となっています。
参考になれば、幸いです。
何度もご丁寧に説明して頂きありがとうございます。
大変参考になりました、自分はミラーレス一眼を選ぶべきと方向が定まりました。
α6600が結構な値段なのでα6400でいいのか、どうせならα7IIIなのか、などまだまだ検討途中ですが左京さんの他の記事等も参考にして判断したいと思います。
ご親切に対応して下さり本当にありがとうございました。
私も旅行や家族写真で使うカメラについて、全く同じコンビ(11proとM7)での運用を検討しているものです。
現在 α7Riiiとrx100m7 を持っており、スマホは7から11proに更新を検討しています。
その際、思い切ってα7riiiを手放してしまうかどうか悩んでおります。レンズは55f18と35f28単焦点のみで、軽さ優先で運用していますが、最近はRX100M7を持って出る機会が多いです。
左京さんにとっては一眼は一眼で引き続き運用継続かとおもいますが、どういったシーンでしょうか?
軽い単焦点なら持ち運びの苦労は最小限かと考えていましたが、それでもまだかさばるように考えるに至りました。
コメントありがとうございました。
ソニーα7RⅢは新世代のRⅣが発売されましたが、いまなお素晴らしい高画素機ですよね。
私もα7Ⅲを購入前に検討したこともありましたが、自分の用途に高画素機は必要ないと考え、価格のリーズナブルなα7Ⅲを選択しました。
しかし、いろいろな作例を見てもRⅢの映し出す写真は素晴らしいと思います。
今回のライコさんのお話はカメラを趣味にしている人には、よくある悩みですよね。
小さな高級コンデジを購入してしまうと、大きなカメラの出番は大幅に減るものです。
私もフルサイズミラーレスが小型軽量なRX100シリーズや富士フイルムX-E3、ライカC-LUXに出番を奪われている状態です。
カメラは大別すると、道具としてのカメラ、もうひとつは所有欲を満たすためのカメラ、二通りの購入動機があると思います。
道具としてのカメラであれば、出番がなければ、売却して資金を有効に活用するのも賢明な選択だと思います。
ライコさんが、どのような用途のためにα7RⅢを購入されたのか分かりませんが、文面から察するに仕事用ではなく日常生活の記録用かと思われます。
そうであるならば、まだ売値が高いうちに売却するのも悪くはない選択です。
ただ、すでに感じているかもしれませんが、RX100M7は高級コンデジとはいえ1型センサーなのでR7RⅢより画質は劣ります。売却後に「やはり高画素な写真も撮りたくなった」ということがないか、よく自問自答されることをおすすめします。
コメントありがとうございます
はい、弊方のカメラ所有の理由は記録写真メインです。十数年前にコンデジを持って行った海外旅行で撮影してきた写真に非常に大きな不満を持ち、それ以降一眼カメラで撮ってきました。その時の思いが大きなモチベーションです。
7Riiiに至るまでには機材を変えてきましたが、子供イベントなど動画用途も考慮したことからですね。(4kモニタで観る等、連携性や精細度)
”あの時 一眼で撮っておけばよかったという後悔“ が無いように一眼で撮ってきましたが、7Riiiには満足しており、55f18レンズとセットで撮った写真は自分も家族にも好評でしたので後ろ髪は引かれます。
本当に手放して後悔する機会は無いのか、
自問したいとおもいます。
実はコンデジを持ち出していけるのも、満足できると確信できる機材(7Riii)があるからのこその余裕なのか。
自分のことは自分にしかわかりませんね。。