ミラーレス時代を象徴するソニーの圧勝
BCN+Rが「キヤノン、ニコンともに惨敗」と報道
多くの人たちが「今後は一眼レフではなく、ミラーレスの時代になる」と思うようになったのは、おそらく昨年2018年だったと思います。
一眼レフが主力だったカメラ業界の雄・キヤノンとニコンが昨年秋にフルサイズミラーレスに参入し、ソニーに挑戦状を叩きつけたのは昨年秋でした。
早いもので、フルサイズ戦争は1年を過ぎようとしています。
そのタイミングで、デジタルカメラなどのニュースや情報を報じているWebメディア「BCN+R」が、2018年11月から今年10月までの1年間、レンズ交換型カメラの販売台数や販売金額の前年同期比を集計した記事を配信しました。
その結果は、一言で言えば、ソニーの圧勝。キヤノンとニコンの苦戦ぶりが鮮明になりました。(参考:BCN+R「キヤノン、ニコンともに惨敗のフルサイズ戦争この一年」)
まずは、一眼レフやミラーレスなどレンズ交換式カメラ全体の販売台数や販売金額は、前年同期比でみると、次のようになっています。
レンズ交換式カメラ全体 | 販売台数 | 金額 |
ソニー | 117.4 | 131.2 |
キヤノン | 87.2 | 84.2 |
ニコン | 75.4 | 73.2 |
ソニーは販売台数が前年比17%増、販売金額が31%増と、大幅に成長しました。
一方、キヤノンとニコンは販売台数・金額ともに20%前後の減少でした。
フルサイズでキヤノン・ニコンは販売額2桁減少
次に、一眼レフとミラーレスを合わせたフルサイズカメラはどうだったのか?
一眼レフを含めても、フルサイズはソニーが2桁成長だったのに対し、キヤノンは販売金額が前年割れ、ニコンは販売台数・金額とも2桁減少という苦戦に終わりました。
一眼レフ含むフルサイズ | 販売台数 | 金額 |
ソニー | 118.9 | 117.3 |
キヤノン | 106.6 | 92.8 |
ニコン | 86.3 | 86.4 |
一方、APS-Cなどフルサイズ未満のカメラでも、ソニーは二桁成長なのに対し、キヤノン・ニコンは大幅な減少に直面したことが分かります。
フルサイズ未満 | 販売台数 | 金額 |
ソニー | 119.5 | 144.4 |
キヤノン | 86.1 | 82.6 |
ニコン | 77.0 | 66.9 |
BCNの道越一郎記者は「キヤノン、ニコンの敗因はやはりミラーレスへの切り替えの遅さ。なまじ一眼レフで大きなシェアを握っているだけに、判断が遅れた。ミラーレス一眼で先行するソニーはカメラ本体のラインアップだけでなく、レンズも豊富にそろえて盤石の体制を築いた」と解説しています。
私はソニーのフルサイズとコンデジユーザーですが、明らかにソニーが魅力的に感じる点があります。
それは何か、説明したいと思います。
ソニー圧勝の理由とユーザーから見た魅力とは?
ソニーの魅力は圧倒的な技術革新と絶妙な選択肢
ソニーの強みは、何と言ってもミラーレスカメラの心臓部となるセンサーを自社開発している点にあります。
そのため、新製品が発表されるたびに技術革新に驚かされ、多くのユーザーの購買意欲を高めていると感じます。
2018年2月に発売され、カメラ業界のゲームチェンジャーとなったα7Ⅲは、性能と価格のバラスが取れているのか、いまだに最も売れているカメラです。
フジユーザーの私は当時、新発売されたX-H1の購入を考えていましたが、価格帯がほぼ同じだったため、初めてソニー機を選択しました。
α7Ⅲは、その後も何度かファームウェアを繰り返し、性能的にはいまなお先端を走っています。
そのα7Ⅲを使ってみて最も感心するのはオートフォーカスの速さと賢さ。しばらくはα7Ⅲで十分だと感じています。
そんな私でもソニーの他のカメラに心動かされることもありました。
まずは携帯性に優れたRX100シリーズです。
とくに、プロ機のα9と同等のAF性能を搭載したRX100M7は、発売簿まもなく購入していしまいました。
また、機種の選択肢が絶妙なのがAPS-Cセンサーのα6000シリーズです。
- α6600 手ぶれ補正搭載・180度チルド式液晶・全部盛り
- α6500 手ぶれ補正搭載・180度チルド式液晶ではない・旧型センサー
- α6400 手ぶれ補正なし・180度チルド式液晶・手ブレ以外は高性能
- α6100 手ぶれ補正なし・180度チルド式液晶・廉価版
α6000シリーズは、手ブレ補正と180度チルド式液晶の有無などによって複数の機種が用意され、使い方に合わせた選択ができる製品展開となっています。
これは動画用途でカメラを選びたいユーザーには、とても親切なラインナップだと感じます。
これだけ魅力的なラインナップになっているので、私も富士フイルムのカメラを一部売却して、APS-Cの最上位機種α6600を購入すべきかどうか悩んでいるところです。
ソニーの弱点を埋めるサードパーティ製のレンズ群
私がα7Ⅲを購入した当時、最も不満だったのはソニーの純正レンズは高価で重くて大きなレンズが多いと点でした。
その点、富士フイルムは軽量コンパクトで安いわりに写りの良いレンズが目白押しです。
しかし、ソニーはマウント情報を公開しているため、最近、徐々にサードパーティ製の安価なレンズも増えてきました。
シグマはF値が明るい一方で大きく重いレンズが多いメーカーですが、タムロンは人気のF2.8ズームレンズに続いて、F2.8と単焦点にしてはやや暗めの軽量コンパクトなレンズも続々発表しています。
こうしたサードパーティー製も含めたレンズ群の充実によって、ソニーユーザーは安価で軽量なレンズ選択が容易になってきました。
ソニーのカメラボディーがよく売れているので、サードパーティーはソニー用レンズを開発するモチベーションが今後、さらに高めることが予想されます。
カメラの進歩に一人勝ちは決して好ましくない
どんな世界でも一人勝ちは成長を鈍化させるものです。
工業製品は一社寡占状態が技術革新や価格競争を鈍化させ、消費者にとってもマイナスになる可能性もあります。
ですから、将来的に、2大巨頭のキヤノンとニコンがソニー人気の前にカメラ事業の撤退や縮小に追い込まれるような事態になることは決して好ましいことではありません。
小さなフルサイズカメラ・シグマfpや、コンパクトなAPS-Cコンデジ・リコーのGRⅢの人気をみても、軽量コンパクトなミラーレスカメラへの流れを止めることは不可能だと思います。
キヤノンとニコンは・・・
- EOS RやZシリーズがレフ機ユーザーの流出阻止のツールにとどまていなかったか?
- ソニーユーザーでも欲しくなるミラーレス機を開発したのか?
- 軽量でソニー機より安価なカメラ・レンズを開発・発売していたのか?
この3点をフィードバックして、強敵ソニーに反転攻勢して欲しいと思います。
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