いよいよカメラが売れなくなった!
コロナの影響でミラーレスカメラも販売台数が半減以下
コロナ自粛で外でカメラ撮影することが憚れる時期が続きました。
簡単に言えば、「こんな大変な時に街に出てカメラ撮影している場合じゃないでしょ」というのが一般の人の感覚でした。
そんな風潮の中でカメラはどれだけ売れたのか?
重くて大きい一眼レフカメラの時代が終焉を迎える中、各社は比較的小型軽量なミラーレスカメラに開発・生産をシフトし、消費者の志向も小型軽量に傾く中、そのミラーレスカメラですら売れないという惨状にカメラ業界は直面しています。
「BCN+R」によると、5月の販売台数は前年同期の38%。つまり、62%の大幅減少でした。
全国の家電量販店やECショップでPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、5月のミラーレス一眼デジタルカメラの販売台数は前年比38.0%となった。4月の26.1%はかろうじて上回ったものの、依然として苦境が続いている。(BCN+R)
店頭販売だけでなくネット販売でも人気のマップカメラ が、5月の新品カメラの売り上げランキングを発表しました。マップカメラで購入する人は比較的、カメラに詳しい目利きの人が多いですから、その売り上げランキングはカメラの人気を知る上でとても参考になります。
新品デジカメ5月ランキング(THE MAP TIMES)
- 1位 富士フイルム X-T4
- 2位 シグマ fp
- 3位 ソニー α7 III
- 4位 ソニー α6400
- 5位 ソニー α6600
- 6位 富士フイルム X100V
- 7位 オリンパス OM-D E-M1 Mark III
- 8位 キヤノン IXY200
- 9位 リコー GR III
- 10位 オリンパス OM-D E-M1 Mark II
このランキングはカメラファンに大きな衝撃を与えました。
なぜなら、カメラ業界を牽引してきたキヤノンとニコンがトップ10に入っていなかったからです。
最近、「キヤノンやニコンが新型カメラを発表していなかったためか?」とも思いましたが、ソニーα7Ⅲはすでに発売以来2年を経過していますし、リコーGRⅢにしても発売1年以上の機種でもあります。
かつては、カメラといえば、キヤノンかニコンの機種を持っている人ばかりでした。
しかし、誰もが持っている大衆機よりも、技術を惜しげもなく投入する新進気鋭のソニーや、フィルムメーカーとしての歴史と色味の良さで他を圧倒し最近人気が鰻登りの富士フィルム、さらには圧倒的な手ぶれ補正の凄さを誇るオリンパス、世界最小のフルサイズカメラを発表したシグマといった、一芸に秀でたメーカーが上位を独占する時代になったのです。
キヤノン推しのカメラ系ユーチューバーを見て感じたこと
キヤノンやニコンにとっては、気の毒な状況だともいえます。
一眼レフにリソースを投入し、ミラーレス機では出遅れた両社は、2018年にフルサイズミラーレスを発表し、反転攻勢に入る予定でした。
キヤノンのEOS Rにしても、ニコンのZ6やZ7にしても、ある意味、生産練習機。対応するレンズも、これから本格的に増やしていこうという矢先でした。
その意味では、キヤノンがEOS R5を近く発表・発売する予定ですが、これまで浮上している情報を見ていると、「その機種は1年前のセンスでは?」とか、「いま、消費者はそれを求めてるの?」という感覚に囚われます。
つまり、機能・性能てんこ盛りで、その代わりに価格は40万円以上・・・・
確かに、経費処理できるプロにとっては注目すべき機種かもしれませんが、趣味でカメラを楽しむ人にとっては「40万円支払って、それだけの体験を与えてくれるの?」という疑問を持つのが普通の感覚です。
しかし、メーカーはプロ需要だけでは利益の最大化は図れません。
素人にこそ無理して買って欲しいのです。
ですから、キヤノンと関係あるプロカメラマンはユーチューブ上で盛んにR5や最上位機種を勧めています。
具体的には、西田航氏は「Canon EOS R5 50万円を準備せよ!」「EOS R6 30万円用意せよ!【伏兵カメラの予感!】」と呼びかけ、野村誠一氏はカメラを選ぶ際には最上位機種を新品で購入することを推奨しています。
ふたりともメーカーの影を感じるカメラ系ユーチューバーですが、西田氏のキヤノン機推しはあまりにも頻繁で逆に閉口してしまいました。
一方で、その西田氏らに全く逆の考え方を打ち出したプロカメラマンがいました。
生き残るカメラメーカーはどこだ!
30年ぶりにカメラを探して感じたこと
私は30年余り前に、ニコン機で仕事をしていましたが、カメラの不要な部署に異動し、数年前に趣味でカメラを再開しました。
そのカメラ選定の際に考えたことは、次の3点です。
- 持ち出すのが楽な軽量コンパクトさ(かつて仕事機で感じていたこと)
- 最終的に吐き出される写りの良さ(カメラ選びの最大のポイント)
- 秀逸なデザイン(撮影意欲に影響する)
その結果、軽量コンパクトで、デザインもクラシカルなフジ機をカメラ再開の最初の機種に選びました。
その選定過程で、ニコンとキヤノンは3つの条件の中では決して優れた機種ではなく、早々と脱落し、最後まで迷ったのはソニー機でした。
その後、α7Ⅲという画期的なカメラが登場したので、フルサイズはソニー、APS-Cはフジ、レンジファインダーはライカと、その3メーカーが現在の所有カメラとなっています。
最近、私は会社経営をパートナーに委ねて時間的な余裕もあるので、カメラ系ユーチューバーにも着目して楽しく視聴させていただいています。
そのなかで、当初、西田氏はプロカメラマンに向けて高価なキヤノン機を推しているのかと思っていました。
しかし、素人に50万円用意してEOS R5を推奨していることが分かり、プロカメラマンの精神としていかがなものかと感じるようになっていました。
ベトナムの惨状を世界に届け続けた沢田教一のようにとは言いませんが、プロカメラマンは資本や権力から自由でありたいという矜持を持って欲しいと思ったものです。
西田氏は早稲田出身。私の後輩のようですが、大手資本や権力と心の距離を置いた在野の精神で頑張って欲しいと思います。
カメラマンにとって、最も重要なことは何を撮るかということ。被写体選定には精神的レベルが反映するものです。
「30万〜40万のカメラは高すぎる」「カメラは中古でいい」
そんな思いでいたとき、プロカメラマンの鈴木心(すずき・しん)氏が「大激突!キャノンVSソニー、ニコン。生き残るのはどこだ!」と題して、反論的な動画をアップしていました。
動画には、以下のようなキャプションも記されていて、なかなか興味深いものでした。
メーカー?スペック?レンズ資産?そして値段?中古相場?そんなことでカメラを選んで大丈夫?写真と付き合う上で、一番大切なこと。これから長く、写真と付き合っていきたいあなたへ。
鈴木氏の主張の中で、私が共感したのは、次の点です。
- でかくて重いカメラを本当に使いたいか?
- 40万円ものカメラを買って、果たして、どれだけの体験価値を与えてくれるのか
- いまのカメラにそれだけの価値はあるのか
- カメラは進歩したというが、撮れた写真は写真が発明された時と変わっていない
- ソニーαSのような軽くて小さいカメラが使いやすい
- カメラは中古でいい。自分も中古を買っている。
- 中古市場でカメラを探すことが楽しいし、写真を撮ることも楽しくしてくれる
鈴木氏はどのメーカーからも自由な立場のせいか、非常に説得力があり、何よりも誠実さを感じます。
最近は、とかくスペックばかりが取り上げられますが、この2〜3年に発売されたカメラであれば、どれでも、ある程度、満足に撮影できます。たとえ、カメラがなくても、iPhoneでも立派な写真が撮れてしまう時代です。
持ち出す機会がなくオブジェになってしまいそうな大きく高価なカメラだけでなく、不便なフィルムカメラの方が楽しいかもしれません。
カメラは視野を広くして選びたいものです。
カメラは個々人の経済状態や生活様式、感覚によって、好みの大きく異なる趣味です。
異論や意見のある方はどんどんコメントしてください。
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