初めてニコンのデジタル一眼レフを購入!ファースト・インプレッション
スナップ撮影には小型軽量が最も大切なスペック性能だ
野鳥やスポーツなど動きものを撮影する人は別だろうが、スペック重視でカメラを選ぶ風潮は一服したのかもしれない。フジフイルムが発売したX-E4が発売直後から販売店では在庫がなくなり、取り寄せとなっている。
約364gでコンデジX100Vよりコンパクト。ライカのようなスッキリしたデザインだ。これにパンケーキレンズの「XF27mmF2.8 R WR」(35mm判換算41mm相当)をつけたら、まさにコンデジ風である。
趣味カメラは「デザイン」「小型軽量」「過不足ない性能」が重要だ。その条件が備わっているX-E4は売れるだろうとは思っていたが、想像以上に人気のようだ。
私はフジ機のファンではあるが、いまは未知の分野・デジタル一眼レフ体験の旅に出ている。前回は2007年に発売されたPENTAX「K100D Super」をレンズ込み8000円台で購入した。わずか有効610万画素の入門機にもかかわらず、CCDセンサー搭載だけあって、最近のカメラでは味わえない独特な絵作りだった。まさに「隠れた名機」だった。
では、Nikonのデジタル一眼レフはどうなのか?
俄然、私の好奇心は高まる。
当初、有効4575万画素、高画素機としては最上位機種のD850を購入しようかとも考えた。ニコンの一眼レフだ。素晴らしいカメラであることは間違いないだろう。
しかし、D850はボディ重量915gの重量級だ。数度使用したら、持ち出すのが億劫になって防湿庫の老名主になるに違いない。軽くて個性的な描写をする機種に狙いを方向転換した。
いろいろ調べて選んだ末に、購入したのは2008年発売の「D60」だった。標準、中望遠、望遠のズームレンズ3本含めて1万円。安い。コロナ禍でなければ、飲み屋で一晩飲んで消えてしまう程の金額だ。
前回のK100D Super同様、D60もCCDセンサーを搭載している。ニコン機の中ではCCDセンサーを採用した最後の機種でもある。
2000年代に発売されたCCD搭載カメラは、CMOS一色になった現在、今後は確実に希少になるとも思った。
ネットオークションで落札し、届いたD60はレンズ含めて驚くほど綺麗。前所有者が愛情を込めて大切に使っていた様子が感じられる個体だった。
これで、私が所有するCCDセンサーのカメラはライカM9-P、前回のK100D Super、そして、今回入手したD60と3台になった。
D60はどんなカメラなのか、前回のK100D Superと比べながら説明したい。
Nikon D60はわずか495g!小型軽量は重要なスペック
上記の写真をご覧いただきたい。
2007年当時、PENTAXの入門機だった「K100D Super」は十分にコンパクトだが、その翌年発売されたNikon「D60」はさらに軽量コンパクトだ。
それもそのはず、ボディ重量は「K100D Super」よりも75gも軽い495g。500gを割り込んでいる。ミラーレスカメラのような重量感だ。
小型軽量はスナップ用途には重要なスペック。私には好印象だ。
次の表は、両機種のスペック比較だが、一言で言うと、D60はK100Dよりも画素数が多く、それでいて小型軽量な機種だ。
Nikon D60 | PENTAX K100D Super | |
発売年 | 2008年 | 2007年 |
センサーの種類 | APS-C・CCDセンサー | APS-C・CCDセンサー |
有効画素数 | 1020万画素 | 610万画素 |
ボディ内手振れ補正 | なし(レンズで対応) | あり(3.5段分) |
特徴 | 明暗差の激しい場所でも白トビや暗部のツブレを軽減する「アクティブD-ライティング」搭載 | ゴミ除去機能を備えたほか、超音波モーター内蔵のSDMレンズにも対応 |
サイズ(幅・高さ・奥行き) | 126x94x64 mm | 129.5×92.5×70 mm |
重さ | 498g | 570g |
両機ともソニー製のCCDセンサーだが、画素数はD60が400万画素ほど多い。一方、K100D Superはボディ内手振れ補正を搭載しているが、D60はレンズ内の手振れ補正に依存する方式を採用している。
ただ、スペック以上に重要なのは最終的に生成される写真だ。早速、スナップ撮影にD60を持ち出した。最初に感じた印象は「それにしても軽い」だった。
廉価なレンズで撮影!有効1020万画素&CCDセンサーの描写力は?
D60が再現する目黒川沿いの穏やかな情景!CCDの表現力に注目
今回使用したレンズはD60のキットレンズ「AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR」と中望遠の「AF-S DX Zoom-Nikkor 55-200mm F/4-5.6G ED」。
Nikon的ヒエラルキーとしては最も低い部類だ。その機材で、どれだけの写真が撮影できるのか?
ワクワクしながら、目黒川沿いに繰り出した。D60はコロナ禍の平日、私が見た川沿いの穏やかな光景をうまく再現してくれるのだろうか。
この辺で、ちょっとだけ一服しましょう。
いかがだろうか?
コロナ禍のなかでも穏やかで平和な情景をしっかりと再現してくれていると感じた。
しかも、CCDセンサー特有の鮮やかな色乗りと、階調の豊かさ、そして透明感のある描写だ。これが13年前のデジタル一眼レフ、しかもエントリー機なのである。
では、続きをご覧ください。
撮影者:Nikon D60+AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR & AF-S DX Zoom-Nikkor 55-200mm F/4-5.6G ED
撮影補助:さきょう
撮影を終えて感じたこと
撮影を終え、PCで写真を見て、私は「素晴らしいスナップ機材に出会った」と思った。
とくに、D60は明暗差の激しい場所でも白トビや暗部のツブレを軽減する「アクティブD-ライティング」を搭載しているため、その効果は抜群だった。白トビもなく、暗部の階調がしっかり残っていたのには感心した。
600万画素のK100D Superは全力で絵作りしている印象だったが、1000万画素のD60はもう少し余裕も感じられた。その余裕が画素数の違いから来るものなのかどうかは分からない。
特筆したいのは、中望遠ズーム「AF-S DX Zoom-Nikkor 55-200mm F/4-5.6G ED」で撮影した際の心地良さである。ボディ込みで重量はわずか約850g。F値が明るくない分、実に軽量コンパクトで取り回しが良かった。
スナップ撮影には取り回しの良さと警戒感を与えない軽装な機材が望ましい。デジタル一眼レフは重くて大きいイメージだったが、D60は私の先入観を覆してくれた。同時に、私の用途にはD60のような機種で必要十分だと感じた。
ネットオークションでレンズ3本込み1万円で購入したNikon D60。入門機の顔をした「名機」だった。さすがNikonである。
この邂逅と気づきが趣味カメラの楽しさなのだ。
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