M型Leica似のX100Vはスタイルだけが魅力なのか?
X100Vは当サイト人気No.1の高級コンデジ
昨年来、当サイトで最もアクセス数の多い記事は、富士フイルムが2020年3月に発売したX100Vの記事である。スタイリングの素晴らしさを主眼に置いた内容だった。
圧倒的なアクセス数を見て、多くのカメラファンは「趣味カメラはカッコいい機材を選びたい」という思いが強いことを感じたものだった。
ただ、X100Vは単なるハンサムなカメラではない。先代X100FよりもF2開放の解像感を高めた。最上位機種のX-T4と同一のセンサーと画像処理エンジンを搭載し、AF性能やフィルムシミュレーションも同等の性能だ。
それゆえ、ジャンルとしては「高級コンデジ」と呼ばれる。
スマホの普及とともに、コンデジは瀕死の状態だ。しかし、富士フイルムのX100VやRICOHのGRⅢといった「高級コンデジ」はいまなお変わらぬ人気を博している。
むしろ、下手なレンズ交換式カメラを凌ぐ人気で、近所の散歩や通勤の際にカバンに忍ばせる趣味カメラとして、あるいは本格カメラのサブカメラとして実に素晴らしい携帯性を備えている。
私もお気に入りの一台がX100Vなのだが、ひとつだけ不満、いや疑問があった。
それは手振れ補正が搭載されていないため、夜の撮影ではシャッタースピードが稼げず、実用に適さないのではないかという疑念である。
高感度ISO5000が描き出す世界
普段、私は夜スナップに手振れ補正搭載のフルサイズを持ち出している。
手振れ補正未搭載でセンサーサイズがAPS-CのX100Vには、夜スナップという役目は荷が重いと考えていたからだ。
他の方が撮影した写真を見ても、日中や夕方に撮影したものは多いが、深夜の作例は少ない。私と同じように夜スナップには使えないカメラだと考えている人が多いのだろうか?
いま、人類史上、類を見ないコロナ禍の真っ最中だ。人出の多い日中撮影より、夜間はソーシャルディスタンスも保ちやすい。夜間の撮影に軽量コンパクトなX100Vを持ち出せたら、当然、撮影機種の選択幅は広がる。
そんな期待を込めて、ひとつ、あることを試してみた。
上記の写真は、今回、夜スナップにX100Vを持ち出した際の設定だ。シャッタースピード優先(1/60)、ISO感度は5000固定、F値は状況に応じてF2かF2.8で調整しながら撮影してみた。
シャッタースピードを固定して手振れを防止するとともに、ノイズ覚悟でISO感度も5000に固定した。撮影データはRAW+JPEGで記録し、RAWデータの明るさを編集ソフト(Lightroom)で調整した。
その作例をご覧ください。
ISO5000の高感度で撮影したX100Vの撮影結果
薄灯を求めて夜の代官山を歩いた(作例)
今回のスナップは夜の代官山。日中、オシャレな老若男女が行き交う街だが、夜は人影も少なく静かな街に変貌する。
いまはコロナ禍による緊急事態宣言下。夜の代官山は静寂に包まれていた。
撮影者:X100V
撮影補助:さきょう
撮影を終えて
いかがだったろうか。
X100Vは夜の撮影でも想像以上に素晴らしい写真を生成してくれていた。
普段の撮影において、私はどんなに上げてもISO感度は1600程度、最大3200にとどめている。撮影した写真がノイズまみれになることを恐れているからだ。
しかし、今回、X100VのISO感度を5000に固定して撮影した。その結果、この程度のノイズであれば、味として甘受できる。
しかも、超高感度に設定したため、シャッタースピード(1/60)を速めることができ、手振れの不安もなかった。
私的には、手振れ補正未搭載のX100Vでも夜間のスナップ撮影に実用できると判断。今後は夜の散歩に活躍してもらおうと期待している。
X100Vは発売してから1年を過ぎた。しかし、デザインと性能、そして小型軽量(478g)の3つのポイントを高水準で確立させた機種は数少ない。
それだけにX100Vは長く付き合えるカメラだと考えている。
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