X-T4のフィルムシミュレーションはフィルムの代用になるのか?
クラシックネガは銀塩フィルム「SUPERIA」がモデル
私のスナップカメラは現在、主にフルサイズがライカとソニー、APS-Cはフジフイルムである。
フルサイズはソニーなのだから、本来はレンズが共有できるソニーのAPS-C機α6000シリーズを選ぶのが合理的だ。しかし、私はフジ機を使い続けている。資本主義社会の中にあって、全く経済合理性のない選択だ。フジの色が好きなのだから仕方がない。
その富士フイルムが1月15日にプロ用ネガフィルム「PRO400H プロフェッショナル」の生産を終了すると発表した。私の頃に比べると、フィルムで仕事するプロカメラマンは激減した。生産コストを考えれば、ISO400は「SUPERIA PREMIUM 400」に集約しようと考えるのは企業として合理的な判断なのかもしれない。
ただ、銀塩フィルムで仕事していた私には、少しばかり寂しい気持ちもある。現在も趣味カメラは時々、フィルムでスナップしている。「ああ、やはり銀塩はいいなあ」と思うときが多々ある。
ところで、富士フイルムのカメラといえば、多様なフィルムシミュレーションが最大の特徴だ。最近、SNS上でクラシックネガを選択する人を良く見かけるが、私も、あの色味と絵作りは大好物だ。
クラシックネガは銀塩フィルムの「SUPERIA」がモデルだ。フジカラーの「SUPERIA PREMIUM 400」は日頃、私が最も利用しているフィルムである。(「銀塩フィルムから学ぶ」)
例えば、こんな写真が「SUPERIA PREMIUM 400」だ。
銀塩フィルムも実にいいではないか。
いずれも、Leica M4に1950年製の三半ズマロン(Summaron-L35㎜ F3.5 1st)をつけて撮影したものだが、カメラ、レンズ、フィルムの3拍子が揃うと素敵な写真が撮れるものだ。
というわけで、今回のスナップは、X-T4で銀塩フィルム「SUPERIA」がベースのクラシックネガを選択し、目黒区の閑静な住宅地・碑文谷を歩いた。
その作例の前にひとつ触れておきたいことがある。
X-T4は機能・性能が完成されたカメラだが、唯一、気になる点がある。グリップの感触だ。中途半端な厚みなのだ。端的に言うと、握り心地が悪い。
そこで、今回のスナップはAmazonでSmallRigのX-T4専用L型ハンドルを取り寄せて装着してみた。
下の写真をみて欲しい。素のX-T4は申し訳程度にグリップ部分が膨らんでいる(写真左)が、SmallRigのL型ハンドルを装着する(写真右)と、グリップの厚みが増す。
使用感だが、3時間のスナップでも疲労感が段違いに軽減された。値段も3000円足らず。かなりコスパが良い。これはオススメだ。
スナップ向きのフジノンレンズは?
スナップに持ち出したレンズは「XF35mmF1.4 R」と標準ズームの「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」の2本。
「XF35mmF1.4 R」はフジの代表的レンズ。2012年発売の古いレンズだが、いまなお、F値1.4の明るさと解像性能、約6万円という安さで人気がある。ただ、AF時に「ジーコジーコ」と少し音がする。動画よりもスチール向きレンズだ。
今回、フューチャーしたいのは「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」。XFシリーズでは最も安価な標準ズームだが、私がフジノンの中で最も気に入っているズームレンズだ。
XFシリーズの標準ズームは、次の3種類がある。
- F2.8通しの赤バッチ「XF16-55mmF2.8 R LM WR」(655g・約12万円)
- F4通しでズーム倍率の高い「XF16-80mmF4 R OIS WR」(440g・約8万円)
- キットにも使用される廉価な「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」(310g・約6万円)
「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」は赤バッチの半分以下の重量だ。鏡胴の造作・品質もキットレンズにするのはどうかと思うようなレベル。スナップ向きなのは、断然、小型軽量でF2.8始まりの「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」だと考えている。
人気の「XF35mmF1.4 R」はそこかしこに作例が溢れているので、今回は「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」の作例を掲載した。
というわけで、10年以上前に住んでいた閑静な住宅地・目黒区碑文谷をゆっくり歩いた。クラシックネガと廉価な標準ズームの描写をご覧ください。
X-T4と歩いた思い出の地 癒しの記憶とクラッシックネガ
「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」(碑文谷八幡宮編)
東急目黒線・西小山駅から伸びる桜並木通り。15分ほど歩くと碑文谷八幡宮が見えてくる。
一之鳥居から続く参道。路面には玉砂利が敷かれ、沿道には桜の樹木が立ち並ぶ。春は隠れた桜の名所でもある。
社務所をすぎると、社殿が見えてきた。