世界最小・最軽量のα7Cは期待以上にスナップに最適だった!コンパクトなFE 28-60mm F4-5.6で撮影した作例も紹介

スナップ
α7C+Voigtländer ULTRON vintage line 35mm F2 Aspherical
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軽量コンパクトは正義!α7Cを購入した理由

メーカーのスペック競争に惑わされないための視点とは?

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使いもしない高スペック・高機能で肥大化したカメラは不要だ

最近、レンジファインダーを中心にコンパクトなフィルムカメラの使用頻度が増えてきた。

旅行の際に観光地では軍艦部のあるカメラでも違和感は比較的希薄だが、日常的な街では何か違和感を感じる。

「なぜだろうか」と考えてみると、スナップに持ち出すことには心理的な抵抗感があるからだ。

  • 街中で他人に威圧感を与える感じがする
  • 軍艦部つきの一眼カメラはバックに収納する際に嵩張る
  • 2〜3時間の長時間スナップにレンズを含めた重量が体にこたえる
  • なんとなく持ち出すには「ヨイショ」と気合が必要

つまりは、外に持ち出しづらいのである。

ミラーレスは一眼レフに比べて軽量コンパクトが利点にもかかわらず、多くのユーザーの希望を盛り込み過ぎているせいか、最近のミラーレスカメラは高機能・高性能とトレードオフでどんどん肥大化している。

しかも、レンズも明るさと解像感を追求した結果、重く大きく、カメラとレンズを合わせて1kg以内に収まる機材は意外に少ない。

スタジオ撮影や野鳥撮影ならわからないでもないが、ストリートスナップで、そんなカメラを振り回していたら、多くの人たちに不審な目で見られ、警察の職質を待っているようなものだ。

写真家赤城耕一氏の問題提起とカメラの未来

と、思っていたら、最近、写真家の赤城耕一さんが、最近のデジタルカメラに対するアンチテーゼ的著書を出版した。

「フィルムカメラ放蕩記」

「写真家アカギ、静かに吠える」というサブタイトルまで振ってある。

何に対し静かに吠えたのか、早速、購入して読んでみた。

本書は赤城さんが廃刊となった「アサヒカメラ」で20年間書き綴ったフィルムカメラにまつわるコラムをベースに、デジタル全盛のいま、あえてフィルムカメラの魅力を綴ったものだ。

ただ、読み進んでゆくと、赤城さんのこれまでの人生、足跡の記述に行き当たる。

第3章「私とカメラとカメラ雑誌のこと。それから、最後の『アサヒカメラ』に書き忘れたこと。」が、それである。

最後に、デジタルカメラよりもフィルムカメラを持ち出す理由に触れている。

「完全なカメラなど世の中には存在しないが、これは人間も同じ。不完全なものを補完して使うのが人間の知恵だ」「デジタルカメラには、スペックは優秀でもブスが多すぎる。仕事に使うカメラは仕方がないから我慢しよう。でもプライベートでは我慢できない。一緒にいたくない」

私もカメラを仕事で使っていた時はデザインよりも強靭さと性能を重視した。

しかし、現在、趣味の撮影に興じている私にとって、赤城さんの問題提起は趣味カメラを選ぶ際の本質に触れていると感じた。

すでにフィルム撮影している人だけでなく、これからフィルムカメラを始めたいという人にとって、余計な機材を買わずに済む良書だと思う。

ぜひ、一読してほしい。

私がSONYα7Cを購入した理由

α7Cには「Voigtländer ULTRON vintage line 35mm F2 Aspherical」が似合う

というわけで、本題に入りたい。

自分自身で設定を決めて撮影し、現像と写真の仕上がりを待つフィルムカメラは、不便さを楽しむ醍醐味がある。

私はスナップに出かける際には、フィルムカメラとデジタルカメラ両方をバックに入れて出かけている。

撮影結果を素早く知るデジタルと、古いカメラとレンズの描写力に驚くフィルムカメラの醍醐味双方を楽しみたいからだ。要するに欲張りなのである。

ただ、レンズ付きのカメラを2台、バックに入れるとなると、結構な重量になる。この重量をいかに減量化するか、長時間の撮影には重要なテーマだ。

この10月、ソニーがバッテリー込みで約500gという軽量コンパクトなフルサイズミラーレスα7Cを発売した。

数あるフルサイズミラーレスの中では小型軽量と言われてきた人気機種α7Ⅲより150g減量化した機種である。つまり、150g前後のレンズを使えば、α7Ⅲのボディ重量と同じ。相当な減量化になる。

キャッチフレーズは「もっと自由なフルサイズへ」

フルサイズでもコンデジのように自由に持ち歩こうということか。

今年は各社ともスペック盛り盛りの新機種が相次いだ。ソニーは昨今のカメラ業界でスペック競争のトップランナーであり、火付け役だ。

そのソニーが一転、2年以上前に発売されたα7Ⅲと同じセンサーを搭載した製品を発売したのだから、「コンパクトなフルサイズは大歓迎」「20万円のカメラにしては古臭いスペック」と賛否両論が噴出したのは当然かもしれない。

しかし、私は購入した。

その理由はただひとつ。軽量コンパクトはスペックに勝ると考えたからだ。

私は高画素機のα7Ⅲと標準機のα7Ⅲを所有している。どちらもスペックや性能に不満はない。ただ、α7Cの方が外に持ち出す機会が増え、結果的に有用なカメラになると直感した。

賛否両論のなか発売されたα7Cだったが、購入後、意外なことが2つあった。

私が実感したα7Cの魅力と趣味カメラとしての拡張性

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前評判と裏腹に人気No1に躍り出たα7C

ファインダーと手振れ補正が搭載されたフルサイズとしては世界最小最軽量と銘打って発表されたα7C。前評判は決して芳しいものではなかった。

例えば、DPReviewは「高画質でAFも優秀だが、小さなEVFがマイナスポイント」(参考)と指摘。Photography BLOGは「取り扱いと仕様の両方の点ですでにかなり時代遅れ」(参考)と辛口の批評も飛び出し、アンチ・ソニー派を大いに喜ばせた。

ところが、蓋を開けてみると、消費者はα7Cを選択した。

CAPA CAMERA WEBは、10月下期のヨドバシカメラ売れ筋ベストテンを掲載。1、2位をα7Cのレンズキットとボディ単体が独占したことを報じた。(参考

  • 第1位 ソニー α7C ズームレンズキット
  • 第2位 ソニー α7C ボディ
  • 第3位 ソニー α6400 ダブルズームキット
  •  第4位 キヤノン EOS R6 ボディ
  •  第5位 キヤノン EOS R6・RF24-105 IS STM レンズキット
  •  第6位 ソニー α7 III ボディ
  •  第7位 ソニー α7S III ボディ
  •  第8位 ソニー α7 III レンズキット
  •  第9位 ソニー α7R IV レンズキット
  •  第10位 ニコン D5600 ダブルズームキット

続いて、マップカメラも10月1カ月間のランキングで、10月23日に発売されたばかりのα7Cがいきなりトップに躍り出たことを発表した。

  • 1位 ソニー α7C
  •  2位 ソニー α7S III
  •  3位 キヤノン EOS R5
  •  4位 キヤノン EOS R6
  •  5位 パナソニックLUMIX DC-S5
  •  6位 ソニー α7 III
  •  7位 富士フイルム X-T4
  •  8位 ソニー VLOGCAM ZV-1
  •  9位 DJI Pocket2
  •  10位 ソニー α6400

大手カメラ量販店2社が同じ結果だったところをみると、α7C人気は本物のようだ。

マップカメラの解説が消費者の動向を知る上で興味深い。

「このα7C、予約段階ではそれほど数を伸ばしていなかった。SONYの先行展示会などのレポートや、実際に発売開始後に店頭で手にした方から評判が広まり、あれよあれよという間に販売数を伸ばしていった感がある。」(THE MAP TIMES

一般ユーザーが注目しているのは、スペック以上に手にした時のフィーリングであり、扱いやすい大きさ、重さであることがわかる。

私も購入後、最初に感じたのは「これならバックに入れても嵩張らず、楽に持ち歩ける」という感覚だった。

私の好きなレンジファインダーM型ライカは重量があるが、それでも軍艦部がないだけでバックの収納は楽になると実感していた。

そのライカよりも150〜200gも軽量なのだから、気軽に持ち歩ける今時のフルサイズミラーレスを手に入れた気分だった。

スナップの描写力は問題なし!課題はレンズ選び

α7Cについて、α7Ⅲや他メーカーのカメラとの比較論を語る向きもあるが、正直言って、ナンセンスだと思っている。

なぜなら、このカメラは別ジャンルのカメラだと考えているからだ。

TOYOTAのSUVランドクルーザーとBMWのMINIを比較するようなものだからである。

そうは言ってもα7Ⅲと同価格帯だし、比較してみたいという気持ちも分からないではない。

私の個人的感覚では、α7Ⅲが優れているのはファインダー。一方、α7CはAFと動画機能が進化している。

画質については、某プロカメラマンが「センサーが同じなのに絵作りは全く違う。α7Cはα7RⅣに寄せている」と話していたが、私はα7RⅣを使ったことがないので分からない。

画質については、JPEGで撮影した作例を掲載するので判断してほしい。

なお、α7Cはキットレンズ付きをおすすめする。

このキットレンズ(FE 28-60mm F4-5.6)、F4スタートと決して明るいわけではなく、画角も広角28mmから望遠60mmと中途半端感もある。しかし、スナップや家族用途には抜群に便利だ。

キットで購入したら約2万円程度の追加で済む。胴体にチープさはあるが、隅々まで解像する。何よりもコンパクトなのが良い。α7Cの自由さ便利さを増幅してくれる。

α7CとキットレンズFE 28-60mm F4-5.6で思い出の地を撮影

α7Cを手にして最初に思ったことは何か?

「子供たちが幼いころにこんなカメラがあったら、どれだけ便利だったか」という思いだった。AFが爆速、持ち出しも苦にならない。旅行や公園遊びのスナップには打って付けの機材だと思った。

と考えているうちに、私の足は長男を遊ばせた世田谷公園(世田谷区池尻1丁目5番27号)に向かっていた。

木々は色づき、秋の装いを感じさせた。

望遠端(60mm)で寄ってみた。

JPEGのスタンダードが上品で心地よい色だった。

世田谷公園の名物のひとつがミニSL「ちびくろ号」。息子も大好きだった。レンガ色の駅舎が近づいてきた。落ち葉を踏みしめる音だけが聞こえた。

平日だったせいか、コロナの影響なのか、駅舎は閉じていた。

α7Cには面倒なRAW現像は似合わない。カメラ内のクリエイティブスタイルで好みの色を選んでJPEGでカジュアルに撮影する。これがいい。白黒、セピア、スタンダードの順に撮影した。

なお、ビビットを選ぶと、秋に咲いた花も鮮やかに記憶される。

このα7C、白黒も階調がしっかり出てなかなかいいと感じた。表情を変える噴水。ついつい撮影枚数も増える。