「デジタルカメラグランプリ2020」は消費者不在だったのか?売り手論理の受賞に疑問噴出

CAMERA COLUMN
image:SONY公式サイト
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誰のための賞だったのか?

「BCN+R」が「デジタルカメラグランプリ」に疑問を提示

デジタルカメラなどのニュースや情報を報じているWebメディア「BCN+R」が11月3日、「発売前のカメラがグランプリ受賞? 消費者不在の「賞」に意味はあるのか」と題し、デジタルカメラグランプリの選考過程に疑問を投げかける記事を掲載しました。

主な要旨は次の通り。(詳しく記事参照

  • Z 50はまだ具体的な発売日すら決まっていない。ユーザーが店頭で実機を触る機会を待たずに、「総合金賞」受賞に大いに疑問を感じた。
  • あたかも人気のある商品のように発売前から喧伝するのは、消費者を惑わすことにならないのか。
  • 選考対象は「発表済みの製品」で、発売前でも問題ないとしている。(グランプリの)担当者は「ご批判もあるかもしれないが、今年で12年目。一定のご評価はいただいている。過去にも、発売前の製品が金賞を受賞したこともある。グランプリは店頭を重視しており、量販店がこれから売りたいモデルをおすすめするもの。これを買っとけば失敗はない、という視点の賞だと受け止めて欲しい」と話す。
  • ある業界関係者は「選考の過程が見えにくく、本当にフェアに選定されているのかは疑問だ。業界ではほとんど重視されていない賞だが、消費者を惑わすことになりかねない」と警鐘を鳴らす。
  • 市場の洗礼を受ける前に専門家だけで製品の序列を決めることには大きな疑問が残る。消費者不在のグランプリを容認してしまう姿勢そのものが、現在のカメラ市場の縮小を招いているのではないだろうか。

今回、ミラーレス部門の総合金賞に選ばれたのは、ニコンのZ50、パナソニックのLUMIX DC-S1R、ソニーのα7R IVという3機種。

このうち、Z50は11月下旬発売予定となっており、消費者の手には届いていない商品です。

消費者が手にしていない商品にグランプリという賞が与えられていることに驚いた人は少なくないはずです。

その意味では、「BCN+R」の指摘は秀逸です。

売り手側の論理で決まったグランプリは時代に逆行する

「BCN+R」の記事で驚いたのは、主催者側が「グランプリは店頭を重視しており、量販店がこれから売りたいモデルをおすすめするもの。これを買っとけば失敗はない、という視点の賞だと受け止めて欲しい」と説明したという部分です。

私もニコンのZ50は悪い商品ではないと思います。むしろ、初心者やZ6ユーザーらのサブカメラとして魅力的なカメラだと思います。

しかし、その予測と賞レースとは違います。

まだ楽曲が発売前に歌唱者に日本レコード大賞を授与するようなものです。

「レコード会社が売りたい楽曲をおすすめする賞だ」と説明しても納得する人は少ないのではないでしょうか?

最近は、消費者保護の観点から消費者庁が発足し、誇大広告やエビデンスのない健康食品に対して厳しい行政指導がなされています。

消費者に正確で誠実な情報を提供することが世の中の流れとなっています。

「グランプリは量販店がこれから売りたいモデルをおすすめするもの。これを買っとけば失敗はない、という視点の賞」は、消費者不在の時代錯誤と指摘されかねません。

商品の賞レースは消費者目線が重要だ!自動車の選考基準とは?

「過去にも発売前の製品が受賞したことがある」という「デジタルカメラグランプリ」ですが、工業製品に与えられる賞といえば、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」が有名です。

「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の受賞は販売台数にも影響を及ぼすため、各メーカーとも真剣です。

選考委員は60人を上限とした各界のメンバーで構成され、毎年、国内大手のトヨタや日産の車種が選ばれる訳ではない点が、この賞の信頼性を高めているともいえます。

では、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」はどんな選考規則なのでしょうか?

対象車種の発売期間などは次のように明記されています。

◆対象車◆
1.対象車は、前年の11月1日から当年の10月31日までに日本国内で発表または発売された全ての乗用車で、次の条件を満たしていること。
1-1.継続的に生産・販売され、年間の販売台数が500台/年以上見込まれること。
1-2.選考委員にそのクルマを充分に理解する機会が与えられており、事前にテストドライブ、資料提供等が可能であること。
1-3.当年の12月下旬までに一般消費者が日本国内で購入出来ること

どんな賞であれ、商品を購入する際に消費者の選択に少しでも影響を及ぼしそうな賞であるならば、選考基準の計画や公正さが担保されている必要があります。

そうでなければ、消費者を一定の商品に誘引するためだけの不誠実な道具と化してしまいます。

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消費者目線で「デジタルカメラグランプリ2020」を発表!

消費者の端くれ・左京の選ぶ「デジタルカメラグランプリ2020」を発表

というわけで、最後に当ブログ管理人・左京が選んだ「デジタルカメラグランプリ2020」を発表したいと思います。

選考基準は、①価格と性能のバランス②小型軽量か③イノベーションを重視したいと思います。プロ用カメラもコンデジも同じ土俵で選考します。

対象となるのは、今年発売され、本日(11月4日)までに店頭に並んだミラーレスカメラです。なお、あくまで左京の独断と偏見に満ちた個人的見解です。

では、発表です。

  1. RX100M7(ソニー)
  2. α7RⅣ(ソニー)
  3. α6600(ソニー)
  4. GRⅢ(リコー)
  5. X-A7(富士フイルム)
  6. X-T30(富士フイルム)

上位3位までソニーが占めました。

選考過程で、ソニーは技術の進歩を利便性向上に十二分に生かしていることを改めて感じました。

その代表格が最優秀グランプリに輝きました。

とはいっても、「左京杯」という冠なので何一つ権威はありませんが、消費者目線で真心を込めて選考させてもらいました。

左京杯「デジタルカメラグランプリ2020」の受賞理由

今年の最優秀グランプリはRX100M7が受賞しました。

α9並みのAFやシャッター性能、手ぶれ補正や180度チルド式液晶モニターを搭載し、消費者が必要とする機能をほぼ全て盛り込んだ機種です。

それでいて、フラッシュも内臓し、重要は300gの小型軽量を守ったのは立派です。

私はRX100M5のユーザーですが、コンデジの完成形といっても過言ではないスペックを見て、とうとう、先日、購入してしまいました。

M7は旅行や運動会、日常生活の記録、スナップ、ブツ撮り、幅広く活用できるので、決して後悔しないカメラだと感じています。

2位は、いまや日本を代表するフルサイズの高画素機α7R4でした。

6100万画素の高画素でありながら、強力な手ぶれ補正とAF性能で破綻のない写真が撮影できてしまう高性能カメラです。

これだけ高画素だと、一般ユーザーはデータ処理やデータ管理にPCやハードディスクなど周辺環境の更新が必要になるかもしれません。

価格は40万円前後と高額で、しかも先ほど申し上げたような運用コストが必要になる点が気になりますが、将来的には、24㎜の単焦点レンズでも、1200万画素以上を維持しながら、35㎜、50㎜、70㎜、120㎜、180㎜といった撮影が可能になる未来を予感させる点を重視しました。

3位は、APS-Cセンサーのα6600を選びました。

この機種もRX100M7同様、多くのユーザーに役立つ手ぶれ補正や180度チルド式液晶モニターを搭載しています。

その意味では、静止画と動画双方に優れたAPS-C機のほぼ完成版ともいえます。

また、α7Ⅲと共有の大容量バッテリーに変更され、α7シリーズの最新型やα9のユーザーは2種類のバッテリーを持ち歩く必要がなくなりました。小さな変更かもしれませんが、ユーザーの利便性を高める精神を感じさせます。

個性的な小型軽量カメラが続々登場した

4位は、「これぞ、スナップ用カメラ」といったリコーのGRⅢが入りました。

RX100シリーズの1型センサーより大きなAPS-Cで、センサーサイズが大きい分、画質的にも有利なコンデジとなります。

3軸4段分の手ぶれ補正も搭載しながら、バッテリーも含めた重量はわずか257g。電源をオンしたら、わずか0,8秒で起動する点もスナップ用カメラとしての実用性を高めています。

5位は、富士フイルムのX-A7を選びました。

富士フイルムの関係者が見ていたら、「なんでX-T30よりX-A7が上なの?」と思う人がいるかもしれません。

確かに、6位のX-T30は上位クラスのX-T3と同等のスペックで、出し惜しみのない内容です。

しかも、X-T二桁シリーズの特徴である低価格かつ小型軽量路線を踏襲し、写りはフジフルム独特の情緒的な絵作りでカメラ撮影には不満のない機種だと思います。

しかし、X-A7はAPS-Cセンサーの入門機ですが、富士フイルム初のバリアングルを搭載しました。ファインダーを排した代わりに、通常のデジタルカメラより大きな3.5インチの液晶モニターを搭載しました。

スマホがカメラ市場を侵食するなかで、なかなか興味深い試みです。

私はX-T30ユーザーでもあるので、性能や実用性はおそらくX-T30が上だと思いますが、X-A7の攻めたイノベーションに加点しました。

ただ、富士フイルムは近く発売されるX-Pro3で消費者にとって不自由な液晶モニターを搭載し賛否を巻き起こしていますが、X-A7で見せたようなデジタル時代の利便性や新機軸を追求して欲しいと願っています。

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