若い世代中心にフィルムカメラ熱が再燃している理由とは?ライカはフィルムカメラを作り続ける

LEICA
ページ内に広告が含まれています。

最近のフィルムカメラブームが過去のブームと全く異なる点とは

スポンサーリンク

フィルムカメラがおじさんの趣味から若者中心の趣味に変化してきた

1990年代、クラシックカメラブームが席巻し、バブルの影響もあって価格が高騰しました。

その後、長いこと小康状態でしたが、最近、ツイッターなどSNSではフィルムのクラシックカメラやオールドレンズが大流行。古いカメラ機材で撮影した写真画像が毎日、私のツイッターにも流れてきています。

比率からすると、デジタルよりもクラシックな機材写真が多い日もあります。

現在、フィルムカメラを製造・販売しているのはライカとニコンだけ。若い世代は数十年前に製造された中古カメラを購入し、その写りやプロダクトの美しさに魅せられているようです。

かつてクラカメブームはおじさんの懐古趣味的な色彩を帯びていました。

しかし、最近のブームはSNS上では20代〜30代が中心。エモーショナルな写真やアートな写真が盛り沢山で、最近、カメラメーカーが繰り広げているデジタルカメラのスペック競争が虚しくなるほどです。

「フィルムカメラよりも最新のデジタルカメラやレンズで撮影した方が美しい写真が撮れるはずだ」

こう考える人がいるかもしれませんが、そうとは限らないところがカメラの面白い点です。

例えば、ポートレートの場合、バキバキに解像する最近のレンズよりは、70年前のレンズで撮影した柔らかな写真の方が被写体をきれいに描き出してくれます。

1950年代に製造されていたライカのズマリット50㎜ F1.5というレンズがあります。

私も1954年製ズマリットを所有していますが、プロカメラマンのSHINOTAKUさんがそのズマリットをα7Ⅲにつけて撮影しています。まずはその美しさを堪能してください。決して、現代レンズでは描き出せない描写です。

フィルムカメラやオールドレンズは数千円から数万円で手に入ります。

しかも、最近のデジタルよりもプロダクトの造形美も楽しめて所有する喜びがあります。

撮影にお作法が必要な点も新鮮なのかもしれません。

ですから、撮影を楽しむという点でデジタルにはない魅力を秘めています。

フィルムカメラを作り続けるライカの先見性

なぜ、ライカが長年、カメラファンに支持されているのか?

それは、①歴史を大切にしていること②継続の重要性を分かっていること③カメラのファッション性を意識していること④JPEG撮って出しでも満足な写真を吐き出す機材を目指していること⑤新たなスペックで何度も買い替えさせるビジネススキームを前面に押し出していないことなどがあるからだと思います。

中古品が盛んに売買されても、メーカーとしては利益がありません。ですから、新スペックのカメラを発売し、現行機材を陳腐化させて、買い替えを促進しようと考えるのが平凡なカメラメーカーです。

一方、非凡なカメラメーカーはユーザーに歴史を紐解いてもらうことで、いずれ、中古ユーザーの一部は現行機材にも興味を持ってくれると考えているのではないかと感じます。

実際、ライカはデジタルライカだけでなく、現在でもフィルムカメラを生産しつづけ、その人気は衰えないために生産が追いつかず、入荷待ちになっているといいます。

ライカ専門の独立した非営利会員組織LHSA(ライカ ヒストリカル ソサイエティー オブ アメリカ)のメンバーがライカカメラAG社フォトビジネスのグローバルデイレクター・ステファン・ダニエル氏と対談した内容がLeica Rumors に掲載されました。(2020年8月8日公開)

Leica committed to film and APS-C cameras, Leica M camera with EVF and IBIS unlikely - Leica Rumors
Here are some interesting comments from Stefan Daniel from a recent discussion with LHSA members: Leica confirms commitment to film cameras: “Over the past ...

このなかで、私が注目したのは次の点でした。

  • ライカはフィルムカメラの製造を継続することを約束した
  • 中古のライカフィルム本体の需要が非常に伸びていることを強調し、新しい(フィルム)カメラ(MPなど)は入荷待ちの状態
  • フィルムカメラに対する関心は、10年以上前にデジタルMが登場して以来、ダニエル氏が見たことのないレベルだ
  • APS-C市場は非常に競争が激しく、特に富士フイルムとソニーは価格性能比が優れている。ライカCLは生産中止にはしないが、刺激が必要だ
  • APS-Cは、ライカの製品ラインナップの一部であり、今後も継続する

この記事の中で印象的だったのは、最近のフィルムカメラブームはダニエル氏も経験したことのない水準だということです。

もう一つは、APS-Cに関していえば、富士フイルムとソニーは高水準な性能と価格のバランスだと評価している点でした。

いずれも、私の認識と同じでした。

カメラ業界がプロやハイアマファーストでは衰退を早める理由!フルサイズミラーレス競争の残念な結果
カメラ業界の現状に一石を投じたレポートフルサイズミラーレス競争は期待ほどの変化を生んでいないカメラ業界の未来はどうなるのか?おそらく、今のままでは衰退の一途をたどるような悪い予感がしています。最近、BCN+RというWebメディアが『死に体のデジカメ市場を救うのは「小さなカメラ」だ』と題したレポートを発表し、デジカメinfoがこの記事を紹介したところ、コメント欄では様々な意見が投稿され話題となっています。BCN+Rのレポートは、キヤノンやニコン、パナソニックがフルサイズミラーレスに参入しましたが、蓋を開けてみると期待したほど変化が生まれていないと指摘した内容です。主な趣旨は次の通り。(参考:死に...

フィルムカメラの買い方とデジタルカメラの買い方

スポンサーリンク

フィルムカメラやオールドレンズはオーバーホール済みが理想的

バルナックライカⅢfに赤エルマー50㎜F3.5の定番スタイル

フィルムカメラにしても、オールドレンズにしても、製造後20年、30年経過は当たり前。私が保有しているバルナックライカⅢfは1955年製造なので、もう65年前のカメラとなります。

当然、購入後はオーバーホールに出して、現在はファインダーもクリアで快適なフィルムライフを送っています。

若干、値段は高くなりますが、やはり古いのカメラやレンズはOH(オーバーホール)済みの物を購入するか、購入後にすぐにOH依頼しておくと、長年、憂いなく撮影することができます。

当初の出費を惜しむと、機械式カメラですから、シャッターなどの不具合やファインダーの曇り、レンズも曇りやカビが気になり、撮影画質にも影響してきます。

もうひとつ重要なことは、最初からAFや露出計のない完全機械式のカメラの方がカメラの原理原則を学ぶことができますし、撮影も楽しいものです。

露出計はスマホの無料アプリで十分。何も最初から単体露出計を購入する必要はありません。

スマホの露出計アプリでも以下のような写真が撮影することができます。(M3は「フジフイルム業務用ISO100」 、バルナックⅢfには「フジフイルムPREMIUM 400」を使用

まずは、ライカM3にズミクロン50㎜F2(1st・沈胴)で撮影した写真から。

ライカM3+ズミクロン 50㎜F2 1st(1st 沈胴)

ライカM3+ズミクロン 50㎜F2 (1st 沈胴)

ライカM3+ズミクロン 50㎜F2 (1st 沈胴)